ホーム | 日系社会ニュース | おばあ茶ん=気鋭の紅茶師が来伯指導=紅茶フェス優勝の後藤さん=レジストロに手揉み伝授
茶もみ作業中、真剣な表情の後藤さん(右)、匂いをかぐ友人の清田貴浩さん(38、愛知)=(福澤一興さん提供)
茶もみ作業中、真剣な表情の後藤さん(右)、匂いをかぐ友人の清田貴浩さん(38、愛知)=(福澤一興さん提供)

おばあ茶ん=気鋭の紅茶師が来伯指導=紅茶フェス優勝の後藤さん=レジストロに手揉み伝授

 この年末年始、〃コーヒー王国〃の片隅で、日伯の紅茶交流がひそかに行われていた。かつての〃紅茶の都〃の茶業再興を願う島田梅エリザベッチさん(本名=梅子、89、二世)と、昨年の第4回紅茶フェスティバル(愛知県尾張旭市)でグランプリを獲得した後藤潤吏(ひろさと)さん(30、愛知県)だ。後藤さんはレジストロにある梅さんの生産所を去年12月下旬に訪ね約3週間に渡って指導、アッサム茶葉を使って紅茶の試作等を繰り返した。

 梅さんが作る紅茶「おばあ茶ん」は14年11月から販売を始め、豊かな味わいが評判を呼んでいる。長女の栄子さんらが協力して手作り紅茶を生産している。昨年の同紅茶フェスティバルに梅さんが参加したことから、後藤さんは「おばあ茶ん」の存在を知り興味を持ったという。その時に梅さんが後藤さんに「一度ブラジルに遊びに来てください」と声をかけ、訪問が実現した。
 一方、後藤さんの「ごとう製茶」は愛知県豊橋市に所在し、無農薬で茶を栽培し、「べにふうき」など日本産の茶葉を使用して紅茶を作っている。高級商品として、茶葉を手摘みしたものも取り揃え、好評を博し、見事グランプリに輝いた。
 紅茶の味と風味にこだわる後藤さんは、自分の製茶技術を他の茶葉に応用したいという願いがあった。アッサムなどの品種で試したらどんな味になるか興味があったという。温暖な気候を好むアッサム種は、日本では冬に枯れてしまう。そのためアッサムを品種改良して日本に適応させたのが『べにふうき』だ。後藤さんは初めておばあ茶んを試飲した時に、「このアッサム茶葉を使って、自分のやり方を試してみたい」と思い、来伯を決めたという。
 今回、島田栄子さんらに、葉の中でも柔らかい一番葉と二番葉のみを摘むやり方や、機械ではなく手で揉みながら乾燥させる方法などの技術を伝えた。栄子さんは「今まで多くの方から『おいしい』と言われてきたが、今回改善したことで今後さらにおいしくなる。本当に有難い出会いでした」と謝辞を述べる。
 梅さんは「手揉みで葉を乾燥させる方法は初めて体験した。お茶の味は一つだと思っていたが、天候や摘み方で変わることを教えてもらった。とても感謝しています」と語った。
 伯国の紅茶作りを見た後藤さんは、「ブラジルでは一度葉を摘んでも、日本より早く次の葉が出てくる。また畑の面積も広い。日本でお茶を作っている人は、ブラジルで一年研修できれば相当経験が積めるのでは」と日本との違いを語った。「ブラジルで試したことは、そのまま自分の経験値となって日本での紅茶作りに生かせる」と充実した表情で話し、18日に帰国した。


□関連コラム□大耳小耳

 耳子が来伯当初に困ったのが、おいしい紅茶が中々売っていないこと。でもレジストロ市で島田梅さんが作る『おばあ茶ん』は紅茶好きの耳子の家族にも大好評。そのフェイスブックページ「Obaatian – O Cha da Vovo」では、茶畑で働く梅さんの写真が投稿されている。またYoutubeにアップされている「Obaatian (おばあ茶ん)」と題された動画では、腰にかごをつけて茶葉を摘む梅さんの姿が見られる(https://youtu.be/UKHJU7R2xDE)。ファンの方、手間隙かけた紅茶作りを一度のぞいてみては。

 

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