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混乱した今だからこそ日系の活躍を

地方の問題を真剣に話し合う皆さん

地方の問題を真剣に話し合う皆さん

 7日、地方に共通する問題を話し合う「第2回聖州日系地方団体代表者の集い」(本日7面に詳報)が終盤に近づいた頃、ボツカツ文協の坂手實(みのる)評議委員長はすっくと足り上がり、感極まったようにこう云った。「父から『ブラジルで生まれたのだから良きブラジル人になれ』と繰り返し言われて育ってきた。今、一般社会の起きていることを思えば、『良きブラジル人』とは『日本文化を残した日系人』といえる時代になった。特質を継承した日系人であることで、よりブラジルに貢献できる時代だと、この会議に参加して強く感じた」▼PT政権のペダラーダ(粉飾会計)による財政危機、ペトロロン疑惑による政治家汚職や経済大不況という状況が、日系アイデンティティにも深く影響を与えつつあることを、集いを取材しながら強く感じた▼民法には「協会は特定の党派を支援してはいけない」との規定があることから、サンパウロの文協をはじめ、政治家の応援をしない日系団体は多い。それに対し、聖南西文化体育連盟の山村敏明会長は「特定の政党を支援するのは禁止だが、気に入った政治家個人を応援することは禁じられていない。普段、政治家に世話になるなら応援もすべき」という考えだ▼サンベルナルド・ド・カンポ日伯連合会の代表も「我々はどこの政党も応援しない。しいて言えば、我々日系は『パルチード・デ・オネスチダーデ(真面目党)』だ。それが我々の流儀」と語った。ノロエステ連合の安永信一さんも「ノロエステには4人も日系市長がいる。今年10月の選挙ではもっと増えてほしい。18年、皇室にご訪問いただけるなら、今年当選した政治家がお迎えすることになる。当然、多い方が良い」という▼山村さんは、今年7月から聖南西に日本食専門家がJICAシニアボランティアとして派遣される予定と報告した。「聖南西以外の地方団体の婦人部でも日本食の講習会を行ってもらえないか、お願いしてみるつもりだ」と述べた。これは素晴らしいアイデアだ。日本文化の普及には日本食が一番近づきやすい▼例えば、焼きそばは今やブラジルの庶民にも愛される。これは元々、日系団体がイベントで出す中、コツコツと広めてきた。新しく来るシニアボランティアには、それに次ぐような「新しいブラジルの国民食」となる和食メニューを考え出してもらい、各地の婦人部に伝授してもらえないだろうか▼さらに各地方の日系団体の婦人部が、地元のブラジル人向けに和食講習会を開催するノウハウを一緒に考えてもらいたい。日本食を通して、一般市民に「計画性」「協働の精神」「真面目さ」を伝えられないか。もし厨房機材が足りない場合は、ぜひ日本政府の支援も欲しいところだ。このような〃草の根〃の日本文化普及の積み重ねが、100年後に大きな成果を生む▼坂手評議員長の締めの言葉は、さらに感動的だった。「『日本移民が来たことでブラジルは良くなった』と100年後の歴史家から言われるような役割を、我々は今、果たさなくてはいけない。移住した両親への感謝を、常に頭に置きながら」。ブラジルが大混乱にある時だからこそ、日系人はデカセギに行っている場合ではない。そんな時だからこそ「ブラジルを良くするために日系が活躍しなければ」「10月の選挙で日系を応援しなければ」――そんな風に日系社会全体が考えるようになれば、いつの日か、一般社会全体も変わっていくに違いない。(深)

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