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五輪マスコットのヴィニシウス(左)とパラリンピックマスコットのトム(右)と一緒に(本人提供)
五輪マスコットのヴィニシウス(左)とパラリンピックマスコットのトム(右)と一緒に(本人提供)

【2016年移民の日特集号】サンバダンサー=工藤さん五輪開会式出演へ=本番会場近くで極秘練習=リオから東京の架け橋に

 開幕まで残り1カ月半と迫ったリオ五輪――五輪と言えば毎回趣向を凝らし、開催国の文化、歴史、技術を総動員した壮大な開会式が注目だ。今大会はそのセレモニーに日本人女性、3月1日付本紙掲載のサンバダンサー、工藤めぐみさん(30、兵庫県)が参加する。(Reporter: Kimio Ido)


 工藤さんは08年以降ほぼ毎回、リオ市に年末から翌年のカーニバルまで3カ月ほど滞在。名門エスコーラ「サルゲイロ」の花形ダンサー「パシスタ」として、カーニバルに参加している。
 今年2月のカーニバルに参加するため、昨年末にリオに着いた際には、もう一つ大きな目的を抱いていた。リオ五輪、開会式出演ダンサーオーディションへの参加だ。来伯早々にオーディションを済ませた彼女は過酷なサンバ修行に没頭、カーニバルが終わるまでは五輪への夢は一時封印していた。
 カーニバルを終え、日本に帰国後間もない2月末、オーディション合格のメールが届いた。「嬉しかった。でも書かれていたのは、自分がトップ80人のダンサーの中に選ばれた事と、5月28日に練習が始まることだけ。全容が分からず不安もあった」と言う。
 帰国してからの日々は慌しかった。地元神戸のブロッコ・デ・サンバ「フェジョン・プレット」のリーダーも務める彼女は、5月の神戸祭り準備、サンバ講師業、サンバショー出演、TV・ラジオ出演、取材対応、ビザ取得などに日本中を駆け回り忙殺された。
 超多忙なスケジュールを何とかこなし、リオ行きの手配を整えた工藤さんは、出発直前の心境をこうブログにつづった。
 「特別な!特別な想いです。子供の頃から始めた生活の一部のサンバ。そして、10代から単身リオへ渡り本場のコミュニティーに混じって真剣に取り組んで来たブラジルの伝統文化サンバを私の愛するリオをもっと知ってもらいたい。そしてこの体験を次の開催国の我が日本へ伝えたい。リオ→日本のオリンピック、一生に一度、私なりにリオと日本の架け橋になれるように、色んな角度から色んな事にチャレンジして来たいと思います」(公式ブログより)

一切極秘の開会式リハーサル

 わずか3カ月ぶりのリオだが、到着早々の荷物不着のトラブルや慣れないリオの冬に悩まされつつも、翌日からは五輪に向けた練習に取り組んでいる。
 練習会場は、本番の行われるマラカナン競技場の近くに設けられた特設会場。警備は厳重だ。練習は午後2時から7時までの5時間で、7月からは本番会場でのリハーサルも行われる。
 開会式の内容は極秘とされており、「サンバともバレエとも違う。形式の決まったダンスではない。全体のイメージ映像と自分の衣装の写真は見せてもらいました。夢があって『これこそブラジル!』と見た人が感動するものになる」と、ここまでが精一杯のリップサービスだ。

来年度サンバ開幕行事にも出演へ

 サンバのほうも工藤さんを放っておかない。「リオ五輪開会式に出演する事が決まった。日程が合えば顔を出したい」と所属するエスコーラ・デ・サンバ「サルゲイロ」に伝えると、「6月4日に来年度開幕イベントがある。その練習に来なさい」と〃師匠〃と呼んで慕う振付師のカルリーニョスから声がかかった。
 普段は年末から合流する工藤さん。周りに内緒でいきなり姿を現すと、同僚のダンサーが駆け寄り、「めぐみがこんな時期からいる!」「お帰り、もうずっとカーニバルまでいなよ!」と温かく迎えられた。打楽器隊の迫力のあるリズムに囲まれて踊っていると、感動の余り「涙が止まらなかった」と言う。

〃サンバの日本代表〃マラカナンに立つ

 来伯より3週間が過ぎ、これから開会式リハーサルも佳境に入っていく。「五輪の開会式は精一杯楽しみたい! リハーサルを通して出会った他の伯人ダンサーとも仲間意識が芽生えた。プロのバレーダンサーの振付師ロドリーゴが『君はまるで伯人だね!』と言ってくれた」と明るく語る。
 開会式には各国を代表する出場選手が参加して行進を行う。柔道、水泳等の一流選手に混じって、工藤さんは言わば〃サンバの日本代表〃か。

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