ホーム | 日系社会ニュース | 丸川五輪相=障害者スポーツ施設に感銘=パラで来伯、サンパウロ市にも訪問=東京五輪「新しい歴史の始点」

丸川五輪相=障害者スポーツ施設に感銘=パラで来伯、サンパウロ市にも訪問=東京五輪「新しい歴史の始点」

施設の全体模型を前に説明を受ける丸川大臣(中央)

施設の全体模型を前に説明を受ける丸川大臣(中央)

 リオデジャネイロ・パラリンピック視察のために来伯していた丸川珠代五輪相が10日に来聖し、市内南部にある障害者用スポーツ施設を訪れた。施設の充実ぶりに驚きを見せつつ、日系人に対して「東京大会は新しい歴史のスタートになる。ぜひ訪れてほしい」とPRした。

 丸川大臣は7日のパラリンピック開幕式に合わせ来訪した。10日にはサンパウロ市を訪問。慰霊碑を参拝した後、市内南部にある障害者用トレーニング施設「セントロ・パラオリンピコ・ブラジレイロ」を訪れた。
 同施設は、日本祭りの会場サンパウロ・エキスポのすぐ南に位置する。車いすバスケ、座位バレー、ボッチャなど15種の障害者競技に対応し、健常者との兼用も可能。韓国にある同種施設の13種目を上回る「世界最大規模」という。
 90億円という予算をかけ、13年末に建設開始。今年5月に完成し、パラリンピックの直前合宿でも使用された。建物内は車いすで移動できるよう全てスロープで連結され、廊下も広々。また8千人が収容できる陸上競技場も備わっている。
 大臣は施設担当官と共に内部を見学。各スペースの用途や、民間による運営体制などについて説明を受けたほか、ブラジル内での障害者スポーツの実態について質問する場面もあった。
 およそ1時間にわたる視察の後、本紙の取材に応じた大臣は、「大変広くて驚いた。東京都内に建設中の健常者兼用の施設は一棟あるが、こちらの施設は広い敷地内に全てを集約している。体調の維持管理ができる設備、スペースが充分にあり、配慮が行き届いている」と感銘を受けた様子だった。

慰霊碑参拝の後、日本館を見学。文協の呉屋春美会長(左)や山下譲二副会長(右)と談笑する丸川大臣(写真提供=望月二郎)

慰霊碑参拝の後、日本館を見学。文協の呉屋春美会長(左)や山下譲二副会長(右)と談笑する丸川大臣(写真提供=望月二郎)

 「障害者スポーツへの取り組みに真剣さを感じる。最高の施設を整えたことに敬意を覚えた」と称賛し、東京大会に向け「もう4年しかないという意識もある。施設を整えるだけでなく、選手を支える人的体制に目を配っていきたい」との課題を挙げた。
 前回の東京五輪(64年)は「戦後復興」がテーマだった。「今回は成熟した『今の日本』、様々な課題を乗り越えた『新しい日本の姿』を見せることになるだろう」と展望した。
 日系社会に関しては、「日本文化の発信に努め、日伯の絆を深めるために尽力されていることに感謝したい」と語り、「もう一度、東京で五輪を開催することは、あらゆる世代にとって新しい歴史をつむぐスタート地点になるはず。ぜひ日系人の方々にも見に来てほしい。お待ちしております」と呼びかけた。


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 リオ五輪ジャパンハウスの感想について丸川珠代五輪相は、「BRT(バス高速輸送システム)から良く見える立地なので、次は『東京だ』とブラジル人に意識付けできたのでは」と感じているよう。また視察に同行したブラジル人ボランティアからは、「『日本から来た大臣をサポートでき誇りに思う』と言って頂き感激。日本人に対して温かいことを実感した」とのこと。「親日国ブラジル」との印象は、しっかり大臣の脳裏に刻み込まれたようだ。

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