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《ブラジル》 移民110周年実行委員会は地方連合会を主役に

戦後、パラナ日系社会をまとめ上げた上野アントニオ下議(故人)

戦後、パラナ日系社会をまとめ上げた上野アントニオ下議(故人)

 パラナ州とサンパウロ州が二大日系集団地であることは、誰もが認めるところだが、連合会のあり方はまったく異なる。パラナ州は傘下の74団体が集まって総会を開き、74人の会長の中から、連合会(リーガ・アリアンサ)の会長を選出する。本部がロンドリーナにあるので、多くの場合、北パラナの団体会長が連合会会長になる。同地の日系社会のリーダー、故上野アントニオ下議や現在の西森ルイス下議のような政治家が会長になったり、影響力を持つことは普通だ▼一方「全伯日系社会の代表」といわれるブラジル日本文化福祉協会の場合、最初から連合会組織になっていない。今年3月に評議員選挙が開かれるが、評議員の大半はサンパウロ市や近郊在住者で、しかも多くが個人だ。評議員である個人、団体、連合会は等しく1票を持つ。たとえばノロエステ連合の地域には5千日系家族が住んでいるが、サンパウロ市の一個人と同じ1票しかない。「票の格差」が激しい不平等な制度だ。これは地方連合会の価値をおとしめているに等しい▼〃中央〃がそんな考えだから、地方団体はどんどん消滅の瀬戸際に追い詰められている。サンパウロ市近郊の人ばかりがあつまったサンパウロの文協には、地方団体を再活性化する親身な取り組みをする気持ちがないように見える。しかも近郊には高学歴二世が多いから、ブラジル社会で活躍した後、定年後に文協役員になる者が多い。「人生でやることはやった」という満足感いっぱいの人々に「地方の現状に危機感を持て」という方が無理だ▼サンパウロの文協は「全伯の代表」といいながらも、移民百周年の時も外交120周年の時も、サンパウロ式典しかやっていない。パラナ、リオ、パラー各州の連合会は、各地の総領事館と直接に式典や歓迎行事の打ち合わせをして決めていた。サンパウロの文協が全伯の式典の打ち合わせを仕切っていたワケではない。ならば、どこが「全伯の代表」なのか▼しかし、全日系の7割がサンパウロ州に在住するのは事実であり、その足元たる地方部を再活性化することは急務のはずだ。来年の移民110周年を「サンパウロ州地方部の再興の機会」にすることができないか▼その起爆剤が「皇族の地方ご訪問」の実現であり、その式典や歓迎会を準備することを通して、地方の日系団体同士が関係を緊密化して、活動を再活性化するような機会にしたい。より多くの地方在住の日系人が地元の式典や歓迎会に参加して、まじかに皇族の存在を体感することによって、日系人としてのルーツ意識を高める―それが大事ではないだろうか。パラナ州は周年行事のたびに皇族に4カ所ご訪問していただき、それをやってきた。サンパウロ州もやったほうがいい▼であれば、今月中に決まるといわれる「110周年実行委員会」の代表は、地方に強い地盤を持つ飯星ワルテル下議(1月から復職)にやってもらうのが適当ではないか。過去の委員会の例にこだわる必要はない。飯星氏の下にサンパウロ市の5団体の代表、それに対等な形でノロエステ、パウリスタ、奥ソロ、ヴァーレ・ド・リベイラ、モジ、スザノ、聖南西などの連合会代表が入って、地方を総動員する形で祭典の準備を進めたらどうか。いつもサンパウロ市の人間ばかり集まって、サンパウロ市で会議をやること自体おかしい。ご訪問を願い出ているプロミッソンやマリリアでも実行委員会を開催すべきだろう▼パラナ州だって十分に広いが、百周年の際、上野下議をトップに、沼田信一氏ら重鎮がなんども傘下の全団体を直接に訪問して、協力や寄付をお願いして回っていた。サンパウロではそんな話は聞かない。学ぶべきことはパラナから学ぶべきだ。「広いからダメ」と最初からあきらめたら、その時点でお終いだ▼今はテクノロジーの時代で、コンピューターによるテレビ会議も可能だ。少なくとも連合会のトップ同士は毎月テレビ会議で打ち合わせをする。そんな体制を作っていくこと自体が、110周年という機会を活用して日系社会が再活性化していくことではないか。(深)

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