《ブラジル》ルーラが恒例の北東部遊説スタート=有罪判決後、特に重要に=今回は前途多難との説も

来年の大統領選を見据え、ルーラ元大統領(労働者党・PT)が17日より9月11日まで、ブラジル北東部9州でのキャンペーンを行っている。同氏にとっては選挙戦略上、重要な恒例行事だが、今回の遊説は以前のように楽なものではないと17日付現地紙が報じている。
ルーラ氏が北東部巡りをはじめたのは1993年からで、この遊説で築いた地盤が大統領選の際に有利に働いてきた。14年の大統領選でジウマ氏がアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)に薄氷の勝利を収めた際も、北東部での圧勝が最終的な決め手だった。
今回の遊説は、来年に向けての意味が込められているだけでなく、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を巡る収賄容疑などで9年6カ月の実刑判決を受け、選挙前に2審目も結審となることが有力視されているだけに、その払拭の意味も込められた重要なものだ。
だが、今回は、行き先のいくつかで、政治的な対立関係があるという。たとえば、バイア州は同じPTのルイ・コスタ知事が、ジウマ政権を追い落としたテメル大統領の存続を望む発言を行って、ルーラ氏の心象を悪くしている。
テメル政権が倒れればロドリゴ・マイア下院議長が継承する可能性が強いが、コスタ知事が懸念するのは、同知事にとって州内の天敵とも言うべき州都バイア市長のACMネット氏が、マイア氏と同じ民主党(DEM)所属という点だ。コスタ知事には、テメル大統領に州への援助金を求めて了承されたはずだったのに、DEM勢力の横槍で流れた経験もある。
さらに、ACMネット氏が18年の同州知事選に出馬し、コスタ氏と一騎打ちになることも予想され、州内は緊迫した関係となっている。
また、相性がよいはずのセアラー州でも、今回は同州元知事のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)の出馬が有力視されている。
マラニョン州では、PTの長年の同盟党であるブラジル共産党(PCdoB)のフラーヴィオ・ジノ氏とのイベントが予定されている。だが、このイベントには、ルーラ氏とも付き合いのある、同州の大物政治家のジョゼ・サルネイ元大統領の一族も参加することが予想され、それがサルネイ氏とは軍政時代からの天敵であるPCdoBの機嫌を損なわせる恐れもあるという。
一方、ルーラ氏とほぼ同じ日程で、同氏を天敵として頻繁に批判しているジョアン・ドリアサンパウロ市市長(PSDB)も北東部巡りを行い、火消しを試みている。同氏自身は否定しているが、同氏にも大統領選出馬の噂や国民からの期待が高い。