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「和太鼓でカーニバル出たい!」=バイーア州「和同」10周年=(上)=手違いで審査会に出席できず…

ヘピニキを叩く砂田さん

ヘピニキを叩く砂田さん

 「来年こそはサルバドールのカーニバルで和太鼓を叩く」――。バイーア州都の和太鼓チーム「和同」は、日系社会のみならず様々な一般イベントに招待され、地域に愛される団体として活動している。結成10周年を記念し、今年2月のカーニバルに出場することを目標に掲げ、昨年から1年間かけて練習を重ねてきた。しかし市からの資金援助を受けるための審査会に出席できず、断念。あきらめきれないメンバー6人が、和太鼓をバイーア音楽の打楽器に持ち替えてカーニバルに参加した。今回の悔しさをばねに来年こそ「和同」として出場することを目指す。

 バイーア州サルバドールの旧市街では2月8日から14日までのカーニバル期間中、ブロッコと呼ばれる小規模編成の楽器隊が練り歩き、夜遅くまで通りをにぎわせた。踊る若い女性、ステップを踏みながらブロッコに付いていく中年夫婦、次々に通り過ぎるブロッコを眺める外国人観光客。道の脇で飲み物を売る屋台の主人も身体を揺らしながら、町中を包むリズムを楽しんでいる様子だった。
 ブロッコの中で特に異彩を放ったのが日本人を中心にした「ナタカトシア」だ。旧市街地にある日本人宿「なお宿」のオーナー、澤田直也さん(45)と宿泊者で構成され、今年で16回目の出場となる。地元では馴染みのブロッコだ。
 今年は初めて和太鼓チーム「和同」のメンバー6人が参加し、約20人の編成で2月10、11、13日の3日間出場した。和同メンバーが叩いたのは和太鼓ではなく、他の演奏者と同じく「ヘピニキ」や「メイオ」と呼ばれる、サンバを始めブロッコ・アフロ、アフォシェ、アシェーなどで使われる打楽器だ。
 和同は今年で結成10周年を迎えるため、当初は記念としてカーニバルに出場し、和太鼓の演奏を披露することを目標としていた。カーニバルでは音の大きいバイーア音楽用の打楽器に和太鼓の音がかき消されてしまう恐れがあるため、普段より太鼓の数を増やすことが提案された。
 しかし、新たに太鼓を購入する資金は無く、他にも衣装費、太鼓の運送費など莫大な費用が掛かることが分かった。
 そこでサルバドール市からの資金援助を得るための審査に通過することを目指し、1年間前から準備を始めた。カーニバル本番では他のブロッコと同様に旧市街を練り歩くため、和太鼓をストラップで肩から掛けて特訓した。大太鼓は台車に乗せて移動しながら叩く練習を重ね、審査会の前にはチーム全員が自信をつけていた。
 しかし、思いもよらないトラブルに見舞われる。メンバー間の連絡に手違いがあり、審査会の日程を間違え、審査を受けることが出来なかった。資金援助を受ける資格を失い、カーニバル出場の道は閉ざされた。
 結成当時からの和同に参加し、リーダーを務めた経験を持つ砂野カロリーナ風花さん(24、3世)は「日程を間違えたと知ったとき何も考えられなかった。私たちはとても大きな機会を失った」と話す。これまでの努力が報われないと分かったメンバーは悲嘆にくれた。(つづく、山縣陸人記者)


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 サルバドールのカーニバルでヒヤッとする場面に遭遇した。日本人観光客が踊っているときに財布を落とした。すかさず近くで踊っていた黒人の男が財布を拾い上げすぐにその場を離れようとした。ところが、持ち主がすぐ気づいてその男から取り返すと、彼は気まずそうにその場を去っていった。この光景からは、カーニバルの喧騒と熱気に浮かれた夜の街だが、決して気を緩めてはいけないことを思い知らされた。

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