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《ブラジル》下院がマリエーレ氏顕彰=国際人権デーを先取りし

 【既報関連】連邦下院が22日、14日に殺害されたマリエーレ・フランコ・リオ市議の遺族も招き、「著しい人権侵害に関する真実に対する権利と犠牲者の尊厳のための国際人権デー(以下、国際人権デー)」を記念した特別セッションを開催したと同日付現地紙サイトが報じた。
 国際人権デーは、軍政下のエルサルバドルで人権保護に取り組んでいたオスカール・ロメロ司教が、1980年に凶弾に倒れた事を記念し、国連が2010年に制定したもので、ブラジルでは今年から公式にカレンダーに盛り込まれる事になった。
 本来の国際人権デーは24日だが、この日は土曜日となるため、下院は22日に記念行事を行う事を決めていた。24日にはサンパウロ市のカトリック総合大学(PUC)でも記念行事が行われる。
 下院での記念行事は、故市議が所属していた社会自由党(PSOL)所属で、国際人権デー承認案提出者でもあるルイーザ・エルンジーナ下議の演説で始まった。
 同下議は、ブラジルでも軍政下では多くの犠牲者が出た事などに触れ、「43万4千人の政治犯が行方不明となっている」事を広く知らしめ、犠牲者らを顕彰するための日である事を強調した。
 また、今回の記念行事では14日にリオ市で殺害されたマリエーレ氏も顕彰者に含める事を明らかにした。マリエール氏は同日夜、黒人青年女性らの社会統合を促すためのイベントに参加後、追跡車から凶弾を浴び、運転手のアンデルソン・ゴメス氏共々即死した。
 マリエール氏は「人権問題の闘士」として知られ、黒人や同性愛者を巡る各種の活動にも参加。リオ市周辺部のスラム街での警官の暴力なども告発していた。下院での式典には、伴侶のモニカ・ベニシオ氏や妹のアニエラ・シウヴァ氏も招かれた。故市議殺害犯は未確定で、市警や検察は防犯カメラの映像解析や現場に戻っての鑑識作業などを続けている。
 マリエール氏は殺される4日前、リオ市イラジャー地区の第41大隊の軍警らがアカリ地区での殺人事件などに関与していると告発。同大隊は「死の大隊」とも呼ばれ、ここ10年間の警官による死者は年平均57人に上る。昨年の死者は69人だったが、16年は92人で、前年の48人からほぼ倍増した。

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