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提言 こうすれば活性化する?!=県人会について考えたこと=《2》=日本ブラジル中央協会常務理事 桜井悌司(2018年5月9日記)

▼《2》ホームページ保有県人会数・県人会館の運営・宿泊施設保有県人会数

 次に各県人会のホームページ保有状況をみてみよう。県連のホームページによると、47都道府県の県人会の中でホームページを独自に保有している県人会数は、19となっている。
 しかし、表示されないホームページは、4県あるので、15程度と考えられる。ほとんどがポルトガル語によるホームページであるが、日本語も持っているのは5県である。ホームページの保有県人会数が少ないのは、世代交代が進んでいないこと、会員数が少ないことが主要な理由と思われる。各県人会の情報発信力は、一部を除いて、それほど強くないという印象である。
(※「追記」=その後の調査では、ホームページではないがフェイスブックの通信手段を使用している県人会が急激に増加している)
 県人会館は、通常、母県の予算で建設し、運営、維持管理は県人会が行うというやり方がほとんどである。
 しかし、時間の経過とともに老朽化が進み、保守・管理・回収の経費が発生する。これらの経費をどうするかも問題となって来る。また、日系人の多くが、日本人街に住んでいた時代と異なり、現在では、日系人は、サンパウロ市や郊外に広く分散して居住しているので、前述のように県人会館の地理的優位性はなくなっている。
    ◎   
 県人会館の中には、宿泊施設を保有する県人会が、14に及ぶ。香川が40部屋、栃木が36部屋、青森が20部屋、以下、千葉が16、広島が12、宮城が10と続く。後の滋賀、茨木、群馬、北海道、富山、静岡、山梨、福岡は8部屋以下である。
 県人会館の宿泊施設の利用方法は2つ考えられる。8室以下の宿泊施設を持つ県人会館は、基本的に地方からサンパウロにやって来る県人会関係者、子弟の宿泊のために使われるケースが多い。
 部屋数の多い県人会館は、会館の維持運営費を捻出するために貸部屋として作られたものである。リベルダーデ界隈には9の大学が校舎を持っており、貸室に対する需要が極めて多く、いつも満室の盛況という。
 宿泊施設を保有することは、母県との人的交流を促進するための有効な手段であるが、維持費がかかるので、経営をいかにうまく進めていくかが課題になろう。県人会会館の中には宿泊施設に加え、ホール、セミナールーム、会議室を保有するところもあり、有効活用している例もある。
 例えば、三重県人会館では、ABRADEMI(ブラジル・マンガ・イラスト作家協会)主催で、2017年には、「日本の歴史コース」を9回開催、2018年も3月から毎月、9回にわたり、開催する計画である。これらのイニシアテイブは、日本文化の普及という意味で素晴らしい企画と言えよう。

▼《3》県人会の役割と業務

 県人会設立のもともとの理由は、出身県との繋がりを維持するとともに、同県人間の友好・親善・協力を図ることにある。
 とは言え、母県にとって、どういう意義があるのか、当該県出身の移住者にとってどういう役割と意義があるのかを設立当初に立ち返って考えてみる必要があろう。県人会の具体的な活動となると、県連のホームページと数少ない県人会のホームページを参照することに頼らざるをえないため、活動の詳細を理解することは困難であるが、その前提で話を進める。

▼「フェスチヴァウ・ド・ジャポン(FESTIVAL DO JAPAO 日本祭り)への参加・出展」

日本祭りの魅力の中心は、なんといっても各県人会が提供する郷土食

日本祭りの魅力の中心は、なんといっても各県人会が提供する郷土食

 本連載エッセイ80でフェスチヴァウ・ド・ジャポンについて取り上げたが、本祭りは、世界で開催される最大の日本祭りであり、主催者の県連にとっても、最重要プロジェクトである。47の県人会がこぞって参加するこの祭りは、県人会の維持と結束にかかせない。
 各県は、自分たちの県の誇る料理、食品、民芸品、特産品を展示・販売する。また、ステージでは、民謡や伝統舞踊を披露する。各県の出身者が、自分たちのアイデンティティーを存分に発揮できる場である。
 各県人会の人々も積極的にボランティアとして参加している。県によって異なるが、3日間で延べ平均100人以上の若い日系人等が手伝っている。フェスチヴァウの運営に携わっている若者の数は、1千人を超える。

忙しくお客さんに対応する大分県人会のブースの様子

忙しくお客さんに対応する大分県人会のブースの様子

 開催月は毎年7月であるが、この時期は冬休みに当たり、多数の大学生が手伝ってくれる。しかも、この祭りを手伝うと、ボランティアで手伝ったことの公的証明書が発行され、大学の単位を取れるのでお互いにとってメリットがある。
 おそらく、このプログラムがなければ、県人会組織は、相当弱体化したに違いない。その意味で、県人会にとって、日本祭りの重要性をいくら誇張しても誇張しすぎることはない。(つづく)

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