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サンパウロ州=川から大量のゴミやタイヤ=少雨で川の水位が低下し露出

 サンパウロ州のピラシカバ川では、90日以上雨らしい雨が降らず、水位が低下したために、大量のゴミが露出し、問題となっている。
 ゴミの中で最も目立つのはタイヤで、ピラシカバ市の釣り人達が作った協会によると、水中には200本以上のタイヤが捨てられているという。同協会は既に、ゴミの不法投棄として環境浄化技術公社(Cetesb)に訴えている。
 釣り人仲間のアレックス・プレステス氏とマルセロ・ルフィニ氏は、告発行為と並行して、川の浄化も呼びかけている。
 「川の水位が下がれば下がるほど、環境が汚染されている事が明確になる。これではまるでゴミ捨て場」というアレックス氏。誰も取り除かなければ、タイヤは最低でも600年間、水中に居座るという。
 ピラシカバ川は同市付近でカーブしており、川が運んできたゴミが堆積し易い。今回は少雨のために川底のゴミが露出したが、川岸の土砂を取り除けば、長年堆積したプラスチックなどのゴミも大量に出てくるはずだ。
 同川のほとりで農業を営むアウセウ・バッソ氏は、「これほど沢山のタイヤが捨てられているのを目の当たりにするのは初めてだ」が、瓦礫などが川に投げ込まれるのは何度も見た事があるという。「住民の教育がたりないのさ。住民がもっと良心を持ち、川を大切にしてくれていれば、こんな事は起きないのに」と嘆く。
 環境学者のシウヴィア・ゴッボ氏によれば、近年の研究では、浄水場で処理したはずの水の中には、往々にして、水中で分解したプラスチックの微細な破片が混じっている事が判明しており、裸眼では見えないために水処理場でも見過ごされる微細なプラスチックの破片を、日常的に飲み込んでいる可能性が高いという。
 そういう意味では、水中に沈んでいる大量のゴミは、環境破壊だけではなく、各方面に計算出来ないほど大きな影響を与えている可能性が高い。また、川に流れ込んでくる水は、市街地の汚れ、汚染も皆持ち込むため、各自治体が水の処理場を持つだけでは不十分で、町の清掃や浄化も不可欠だという。
 ピラシカバ川の環境汚染について告発を受けたCetesbは、川の監視のため、毎日の巡邏活動を今日貸する事や、川への不法投棄などの環境犯罪を未然に防ぐ努力をする事や約束した。
 釣り人達の協会による川の浄化作業は14日に行われるが、ピラシカバ市役所も同日、同川の異なった地点を複数個所選び、清掃活動を行う事にしている。(10日付G1サイトより)

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