ホーム | コラム | 樹海 | いつ、何があってもよい備え

いつ、何があってもよい備え

 19日午後、友人が亡くなったとの知らせを出先で受け取った。友人が手術後も集中治療室にいると聞き、皆で回復を願った事や独り残された母親の事を思い、目の前が真っ暗になった▼自分より若い人が亡くなった時は特に複雑な気持ちになるが、いつも真摯で明るい女性があっという間に亡くなり、葬儀には大勢の人が参列した。小柄なお母さんがより小さく見えたのは、錯覚ではあるまい。残念なのは、大掛かりな手術になるほど重症化する前に、彼女の病気が発見できなかった事。不注意といえばそれまでだが、人の命の儚さを痛感する出来事に、何も手がつかなくなった知り合いも多かったようだ▼だが、予期せぬ出来事は枚挙に暇がない事は、最近の事件を思い起こしても明らかだ。洪水や火災、橋落下などで、様々な夢を描いていた人々の命が奪われ、大勢の人が家族や財産を失った。自分自身、予想だにしていなかった爆弾を抱えている事がわかり、我が身を持て余してぎみの昨今だが、そんな中、「いつまでも残るのは蓄えたものではなく、与えたもの」との言葉が蘇る。前述の友人の葬儀に多くの人が集ったのも、彼女やその母親が周りの人々に尽くし、与え続けてきた証だろう▼一方、彼女の果たしてきた役割を誰が担うかも気にかかる。日本にいた時、「骨を埋めるつもり」であると同時に、「いつでも引けるよう」にと考えながら仕事をしていた事を思い出す。12歳で母を亡くした身にとって、独り立ちは必須だったのに、子育てや後進育成、身辺整理さえ中途半端なまま、ぬるま湯の中にいる。友人の死を契機に、「その時に備えよ」との叫び声が心中でこだまし始めた。(み)

 

 

 

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • 《ブラジル》JBS社主兄弟の司法取引は罪深い「完全犯罪」2017年5月23日 《ブラジル》JBS社主兄弟の司法取引は罪深い「完全犯罪」  テメル大統領は20日午後3時前、緊急声明で「盗聴者は完全犯罪を行った」との異例の糾弾をした。ここから分かることは「JBSのバチスタ兄弟にはめられた」と大統領が激怒していることだ。ブラジルには「大物役者」がそろっていると思っていたが、今回ばかりは度肝を抜かれた。いくら政 […]
  • ボウソナロの新党、いつできる?2020年7月17日 ボウソナロの新党、いつできる? 「ところでボウソナロの新党はいつできるの?」。熱狂的な人気と同じかそれ以上に強いボウソナロ大統領のアンチたちの間では、いろんなからかいネタがあるものだが、この「新党がいつまでたっても出来ない」のも、そのひとつだ。  昨年11月、ボウソナロ大統領が社会自由党(PSL)離 […]
  • 《記者コラム》樹海=護憲革命と日本移民――他人ごとでない黒人差別2020年7月14日 《記者コラム》樹海=護憲革命と日本移民――他人ごとでない黒人差別 革命か、反乱か  米国などで反黒人差別「ブラック・ライヴズ・マター(英: Black Lives […]
  • 《記者コラム》都知事選に思うこと/実はブラジルより進んでいる?日本の右傾化2020年7月10日 《記者コラム》都知事選に思うこと/実はブラジルより進んでいる?日本の右傾化  5日の東京都知事選の結果を見て、「もしかして日本はブラジルよりも右傾化しているのではないか」との思いを抱いた。  それは当選した現職の小池百合子知事に60%の支持があったから、というだけではない。3位に小野泰輔氏、5位に桜井誠氏が入っていたからだ。  小池氏も自民 […]
  • 《記者コラム》樹海=邦字紙の読み方―2cmの折り目に込めた想い2020年7月7日 《記者コラム》樹海=邦字紙の読み方―2cmの折り目に込めた想い 「邦字紙にそんな読み方があったんだ!」  仕事が終了する間際の午後7時半ごろ、編集部内で雑談中、若手スタッフ(部員)から「うちの新聞って、1面と6面を比較すると、同じ新聞とは思えないぐらい内容が違うんですよね」としみじみ言われて、最初意味が分からなかった。  「 […]