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「安永忠邦さんに聴く移民史」=駐在員向けに異例のツアー

眞子さまと握手する安永忠邦さん

眞子さまと握手する安永忠邦さん

 「植民地に生まれ、そこで根を張って生活する移民の生の声を聴いて欲しい」――駐在員向けの観光プランを提供する、旅行会社のトレンディーツーリズム(関根いつ子代表)は『温泉リゾート満喫3日間―安永忠邦さんに聴くブラジル移民史―』を10月26~28日に企画している。
 今年、入植百周年を迎えたプロミッソン上塚植民地に在住の安永忠邦さん(97、二世)は、移民の父・上塚周平の生前を知り、亡くなる前に託された言葉を胸に、およそ一世紀の間植民地を守り続けてきた、数少ない〃生き字引〃だ。
 プロミッソンの安永家は、当地の過去帖や貴重な資料を管理しており、移民の故郷とされる同地で育った祖父母や両親の足跡を辿り、訪問客が訪ねることでも知られる。
 その一族の長老である忠邦さんは、戦時中の弾圧のなかでも日語を教え続け、子供達に教育勅語を語り継いできた。明治の精神を体現するその実直な人柄に触れ、心が洗われる人も多いという。
 ツアーを企画した関根代表によれば、駐在員向けにこの手のツアーを企画する〃異例〃という。「長距離バスは余り好まれず、リンスのホテルは宿泊費も高いので二の足を踏んだ。それでも、忠邦さんが元気なうちに何とか話を直に聞いてもらいたかった」と話す。
 ツアーでは、眞子内親王殿下もご訪問された上塚周平記念公園を訪れ、忠邦さんの案内で上塚翁の逸話から移民史までじっくり聞くことができる。殿下に2回のご接見を受けただけに、その秘話も期待できそうだ。
 関根代表は「昔は移民一世から、植民地の話を直に聞くことができた。今は、情報化社会のなかで移民史を知識として知っていても、実際に移住地を訪れ、目で見て耳で聞くのとは大違い。移民史を肌で感じる貴重な体験になるはず。ホテルではゆったりと温泉も楽しめますのでぜひ」と参加を呼びかけている。
 26日午後11時半出発。27日午前6時半到着、午後2時から4時間ほど忠邦さんとの時間が確保される。翌28日午後2時現地発、午後9時に到着予定。
 定員20人。旅行代金は1290レアル(2名一室)。2歳までは無料、3~11歳までは350レのみ。問合せは同社(電話=11・3287・7072/メール=isekine@trendy.com.br)まで。

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