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《ブラジル》大統領選=決戦投票狙う各候補の思惑=ボルソナロとの決戦投票想定=シロとマリーナはハダジ牽制=アウキミンはセーラの戦術再現

10日のシロ・ゴメス氏(Leo Canabarro)
10日のシロ・ゴメス氏(Leo Canabarro)

 大統領選でジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)との決選投票を狙い、シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)、マリーナ・シウヴァ氏(REDE)、ジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)がライバル叩きに出はじめていると、12日付現地紙が報じている。

 大統領選は、6日に起こった刺傷事件で、極右候補のボルソナロ氏の決選投票進出が固まったとの見方が強まった。また、高支持だが、フィッシャ・リンパ法に触れて出馬失格となったルーラ元大統領の強い推薦を受けた、フェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)の伸びを予想する人も少なくない。
 そこで、左派側からの決選投票への進出を狙い、シロ氏がハダジ氏に対して強いけん制をかけはじめた。シロ氏は「ハダジ氏は〃新しいルーラ〃ではなく〃新しいジウマ〃だ」とし、「もしハダジ氏が当選すれば、またルーラ氏が選んだ政治経験の浅い人物が大統領になる」と皮肉った。
 「私はルーラ氏とは30年来の友人で、ジウマ氏が大統領罷免になる際も、地元セアラー州の下議たちの3分の2に反対させた。だが、〃新しいジウマ〃では国民が納得しない」とシロ氏は語っている。
 一方、ボルソナロ氏とハダジ氏の票が伸びたのと反比例して支持率を下げてしまっているマリーナ氏は、この両者の対抗軸に納まらない中道右派や中道左派の票を得るべく、これまでも行ってきた、女性や黒人、貧しい生い立ちといった経歴を前面に出し、得意の環境問題を軸にしたアピールを行うという。
 そんなマリーナ氏も、ハダジ氏への批判は忘れていない。11日にミナス州ベロ・オリゾンテで行われた集会では、「ハダジ氏ではジウマ/テメル政権の二の舞になる」との警鐘をなげかけた。
 アウキミン氏の戦術はもう少し複雑だ。同氏は「ボルソナロ氏に投票すると、PT政権が戻ってくる可能性がそれだけ高くなる」という論理を展開している。
 極右のボルソナロ氏が決選投票で有利だとなれば、左派がそれを阻止しようと一致団結する。仮にハダジ氏が決戦投票に残れば、シロ氏やマリーナ氏、ルーラ政権の財相で民主運動党(MDB)候補のエンリケ・メイレレス氏もハダジ氏の支持に回ると予想される。決選投票ではボルソナロは大半の候補に負けると世論調査で出ているから、「ボルソナロに入れると、PT政権が再びできる」という論理だ。
 アウキミン氏は、そうならないためにも、中道や右派の人はボルソナロ氏ではなく自分を選ぶべきという。この論法は、2002年の大統領選でPSDB候補だったジョゼ・セーラ氏が展開して奏功した方法でもある。

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