9日、民主社会党(PSDB)が大統領選の決選投票では中立の立場をとると発表したが、会見に先立つ党執行部の会合で、党首で大統領候補でもあったジェラウド・アウキミン氏が、サンパウロ州知事候補のジョアン・ドリア氏を「テメル派」呼ばわりし、同氏と言い争いを行ったことが話題を呼んだ。10日付現地紙が報じている。
アウキミン氏とドリア氏の言い争いは、決選投票に向けた取り組みのあり方や今後の大統領選で誰を支持するかなどを検討している会議の中で、ドリア氏が発言していたときに起きた。ドリア氏は、決選投票に向けた財政支援などを求めた後、「今は残っている知事選の決選投票に全力を尽くすが、その後で、今回の選挙で何が間違っていたのかを検討する必要がある」と語った。
するとその時、アウキミン氏が、「テメリスタ(テメル大統領派)は私じゃない。君だろ」と叫び、ドリア氏が話を続けようとすると、「君だ、君だ、君だ」とまくし立てた。アウキミン氏はもともと、テメル政権にPSDBが入閣することに反対していた。
これを受け、ドリア氏は、「最初はテメル政権に入閣したわけだし、ジョゼ・セーラ氏やブルーノ(・アラウージョ元都市相)、(連立離脱後もテメル氏との個人的つながりで外相を務める)アロイージオ氏にも失礼だ」と返した。
だが、ここで、アウキミン氏は言い方を変え、「裏切り者は、私じゃない」と当てつけた。
このアウキミン氏が指した「テメリスタ」とは、テメル氏がジウマ大統領を罷免で追い込んで大統領に就任したこと、そして、ドリア氏がテメル大統領の民主運動(MDB)と接触して同党からの大統領選出馬を試みた疑惑があることをかけたものと思われる。
PSDBサンパウロ市支部はこの前日、「一次投票前にドリア氏を裏切った」として、党の重鎮のひとりだったアルベルト・ゴールドマン元知事と、アウキミン氏がサンパウロ州知事時代の右腕だったサウロ・デ・カストロ氏に追放処分を下した。だが、ドリア氏の選挙スタッフも、州知事選挙中に「ボウソドリア」とのキャッチフレーズを使い、アウキミン氏を差し置いて、大統領選でジャイール・ボルソナロ氏への投票予定者にドリア氏への投票を呼びかけるなどして追放されており、ドリア氏に対しても、疑問の声が飛んでいる。
なお、ボルソナロ氏の社会自由党(PSL)からサンパウロ州上議に当選したマジョール・オリンピオ氏は10日、同州知事選の決選投票ではドリア氏ではなく、現知事のマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)を支持する意向を表明。一次投票では3位に終わったパウロ・スカッフィ氏(民主運動・MDB)もフランサ氏を支持した。
また、各党が大統領選での支持を発表しはじめているが、PSDBをはじめ民主党(DEM)やノーヴォなどで、中道右派政党からは「中立」が相次いでいる。シロ・ゴメス氏の民主労働党(PDT)やPSB、社会主義自由党(PSOL)は、フェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)支持を発表した。