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《ブラジル》10月は乳がんの啓発月間=適度な運動で死者が1割減る

ピンクリボン月間で、ピンクの照明を浴びるキリスト像(Fernando Frazão/Agencia Brasil)

ピンクリボン月間で、ピンクの照明を浴びるキリスト像(Fernando Frazão/Agencia Brasil)

 ブラジル保健省が19日、ブラジルでは、適度な運動をする事で死亡には至らずに済んだ乳がん患者が12%いたという研究結果を公表と同日付現地紙、サイトが報じた。
 この発表は、10月が乳がんの正しい知識を広め、早期の乳がん検診受診を推進する世界的な啓発キャンペーン「ピンクリボン」月間(Outubro Rosa)である事を受けて行われた。
 発表されたのは、1990~2015年に乳がんで死亡した女性のデータを解析した結果で、科学雑誌『ネイチャー』電子版にも掲載された。
 それによると、15年に乳がんで死亡した女性は、30~49歳3734人、50~69歳7796人、70歳以上5138人の計1万6668人だが、2075人(12%)は、適度な運動をしていれば死を避けられたと見られている。
 保健省予防医療局のファッチマ・マリーニョ氏によると、適度な運動は女性ホルモンの一種のエストラジオールを燃焼させて総量を減らし、結合グロブリンの分泌を促すという。このプロセスは、体内の炎症反応を緩和するという。
 運動不足で乳がんが進行するという問題は都市部ほど深刻で、大都市の女性の3人に2人は運動不足だ。2017年に行われた電話による健康調査(Vigitel)では、主要州都に住む女性の13・9%は全然運動しておらず、51・3%は運動不足との結果が出た。この場合の運動不足は、緩やかな運動で週150分未満、激しい運動なら週75分未満をさす。
 ブラジルがん予防対策研究所(IBCC)のエジソン・マントヴァニ氏によると、閉経期を過ぎた患者の乳がんの進行は、卵巣や女性ホルモンとの関係が薄れ、体脂肪量の影響を受けるため、運動の重要度が増すという。
 運動によって死亡が避けられたと見られる患者が多いのは、経済・社会階層の高いリオデジャネイロ州、リオ・グランデ・ド・スル州、サンパウロ州だ。しかし、食生活の変化のため、北部や北東部でも慢性病による死者が増えているという。
 研究では、糖分やアルコール分の摂取を控え、体重を抑制する事で進行が防げた患者も6・5%いた事も判明した。ただし、他のがんとの関係解明はまだで、日頃浴びる放射線物質の量や家族の病歴などとの関係も今後の研究が必要だという。

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