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「仕事も恋も猪突猛進」=手作り納豆をドイツで=伯国にルーツ、柴ありささん

柴さん(左)と夫のレネさん(本人提供)

柴さん(左)と夫のレネさん(本人提供)

 【東京発=山縣陸人記者】ドイツ・フランクフルトで若い日系女性起業家が奮闘している。柴ありささん(25、三世)は今年6月、ドイツ人の夫とともに納豆を製造・販売する会社「Natto24」を立ち上げた。味にこだわった手作り納豆は、現地の日本人や健康に関心の高いドイツ人を中心に人気を集めている。将来、自身のルーツであるブラジルで、大豆畑を所有することを目指している。

 柴さんは、日本からブラジルに移住した祖父母を持つ日系三世。本人は東京で生まれ、親の仕事のために8歳から11歳までブラジルで過ごした。
 当時、通学路に花売りの少年がいて、毎朝顔を合わせていた。ところがある日から突然姿を見かけなくなり、後になって餓死したと聞いた。柴さんは子供心に、「なんで私と同じ年の子が死ななくてはいけないのだろう」と思った。そのころから貧困に対する関心が高まった。
 大学生のときサンパウロ大学に留学し、1週間スラム街の暮らしを体験した。様々な団体が支援をしていたが、それらが自立した生活に繋がらない現状を見た。貧困から脱するには雇用とお金の使い方を学ぶ教育を提供する必要を感じ、その実現を志した。
 転機となったのは総合商社に入社してから半年が経った昨年10月、旅行で訪日していたレネ・ポールさん(27)と東京のコンビニで出会ったことだった。ふたりは意気投合し、その日から交際を始めた。
 レネさんは、ドイツで納豆を販売することをしきりに勧めてきた。日系企業で働くレネさんは、日本人駐在員が帰国のたびに納豆をまとめ買いしてくるのを見ていて、「日本人は納豆が大好き。きっと成功する」と言った。
 将来ブラジルに関わる仕事をしたいと考えていた柴さんは、はじめ真に受けなかった。しかし、ドイツに10日間滞在したのを機に考えが変わった。ドイツにも納豆はあるが、ほとんどが日本からの冷凍品で値段が高く、粒が固いと感じた。
 また、ブラジルは大豆の生産量世界2位で、仕入れ先として打ってつけ。「商社で働くより早くブラジルと関われる」と考え、会社を辞め、裸一貫ドイツで挑戦することを決めた。その後、出会って半年でレネさんと結婚。両親から猛反対にあったが、根気強く説得した。柴さんは「仕事も恋も猪突猛進タイプです」と笑う。
 その後フランクフルトに移住し、納豆の試作を始めた。小さなキッチンでの手作りするため、温度や湿度の管理に苦労した。2カ月かけてようやく納得の味に。今年6月に会社を立ち上げ、販売を開始した。
 インターネットで注文を受けつけるほか、市内の店舗に卸したり、イベントに出店して直販したりしている。値段は200グラムで3ユーロ(約13レアル、390円)。既存の冷凍納豆の最安値に匹敵するうえ、大豆本来の味が強く、好評だ。
 今の夢はブラジルの大豆農場を買って、スラム街に住む人々を雇うこと。「ブラジルは私のルーツといえる場所。いつか子供たちに生活や仕事について教える学校も建てたい。納豆を通じて恩返ししたい」。持ち前の根性と納豆さながらの粘り強さで、夢に一歩ずつ近づいている。


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 日本の日本人でも、独特なにおいと味を持つ納豆を敬遠する人は多い。まして外国人の中には、匂いを嗅いだだけでイヤがり、「口に入れる」などもってのほかという人もいる。そんな中、柴さんは「現在ではむしろ、たんぱく質豊富な食品として注目されている。お客様にはベジタリアンやビーガンの方も多い」と話す。発酵方法や使う水に工夫を凝らし、ドイツ人にも食べやすいにおいを抑えた納豆も販売。パンやパスタに合う納豆ペーストを開発中で、さらにすそ野を広げるつもりだ。詳しく知りたい人は同社サイト(https://www.natto24.com/)へ。

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