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カエル・プロジェクト=10周年、資金調達に課題=「デカセギ子弟支援に終わりなし」=企業からの支援呼びかけ

10年の活動を振返った中川さん

10年の活動を振返った中川さん

 帰伯するデカセギ子弟の社会適応を支援する非営利法人「カエル・プロジェクト」(中川郷子代表)は、活動開始から今年で10年の節目を迎えた。今月20日、ジャパン・ハウスで記念誌『Projeto Kaeru 10 anos(カエル・プロジェクト10年)』の刊行を記念して講演した中川代表は、活動実績を報告すると共に引き続き活動に対する資金援助を訴えた。

 臨床心理士である中川代表の診療所にデカセギ子弟が診察に訪れるようになったのを機に96年から支援を開始し、08年にカエル・プロジェクトとして発足。同年9月のリーマン・ショックにより急増した帰伯子弟の受け皿となった。
 聖州教育局とブラジル三井物産基金の支援を受けて現在、公立学校39校を巡回し、デカセギ子弟71人を対象に週一回のカウンセリング活動などを実施している。ポ語学習教室開講の他、デカセギ子弟同士の憩の場を設けることを目的とした各種ワークショップ、父母に代わり、劇場や博物館等に引率する社会体験等も実施してきた。
 本紙取材に対し、中川代表は「帰伯デカセギ子弟の教育水準は十年経っても何一つ変わっていない。日本では義務教育ではないから、不就学や不登校にも統計上入らない子供がいる。発達障害の問題も待ったなし」と危機感を募らせる。
 ブラジル経済停滞によって16年末以降からデカセギが増加に転じ、本年6月の在留外国人統計では約19万4千人に上っている。その1割弱が日本人であれば義務教育対象となる子供達だ。
 「日本国内でのデカセギ居住地が変化しており、外国人子弟が急増し、教育現場での対応が追いつかずに窮地に陥っている自治体もある。行政同士の横の繋がりが薄い」との印象も。中川さんは「今は日本に向かう数の方が圧倒的に多いが、子弟は還流してくる。この支援には終わりがない」と話した。
 現在、ブラジル三井物産基金が一社のみで資金を拠出しているが、17年度で援助打ち切りの話も持ち上がっていた。再検討され、本年度も予算が付いたものの3割カットになった。中川さんは「来年度も出来る範囲で活動を続けていきたい。一社だけで支援を続けるのは困難。他の企業にもデカセギ子弟の現状に関心を持ってもらいたい」と訴えた。
 今講演は、国際交流基金、USP、UNICAMPが共催する「ブラジル日本移民110周年記念シンポジューム」の一環として実施された。

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