ホーム | 特集 | 2019年新年号 | 新たな歴史の第一歩を

新たな歴史の第一歩を

山田県連会長

山田県連会長

 ブラジルへの日本人移民が始まって、今年で111年目。
 昨年は移民110周年の節目として、秋篠宮眞子内親王殿下をお迎えし、第21回フェスティバル・ド・ジャポン会場内特設会場で記念式典を開催いたしました。母県からは多くの祝電並びに、18県からは知事を始めとする県民慶祝団の皆様がご参加くださり、日本との交流としては近年最高の年になったのではないかと思います。
 戦前、戦後を通じてブラジルに移住した日本人の数は、25万人余。現在、日系人の数は190万人余といわれ、その中に占める日本人の割合は減少しています。一方でブラジルから日本への渡航者は、四世ビザの発給が可能になったことにより、これからさらに増えるのではないかと推察します。
 こうした時代の流れの中で、「出稼ぎ」という形で日本に滞在する人たちにも、日本とブラジルの交流において何らかの役割を果たしてくれることが期待されます。今や働く人を募集しているのは大都会だけではありません。日本側で「出稼ぎ」に対する理解が進み、親戚や近親者の人との交流がより盛んになり、母県企業での就業が容易になれば、より良い交流ができるのではないかと考えます。
 留学や研修などの交流は欠かせませんが、「出稼ぎ」(就労)という形での交流も大切だと考えます。日本のどの都道府県も人手不足が深刻です。そうした問題の解決方法としても有効であると思います。
 新年を迎え、来し方を思えば、今日の日系社会があるのは、数多くの人たちの労苦があったからであるということを忘れてはいけないという思いを強くいたします。幾多の年月の中には、志を果たせず亡くなった方が多くいらっしゃるのです。そうした上で、今年はこれからの日系社会のあり方を考える年であると思います。
 郷土芸能や料理を通じて日本文化をブラジルの社会に広げてきた県連主催のフェスティバル・ド・ジャポン会場の入場者は、半数以上が非日系人となりました。
 県連では母県との留学、研修生制度の復活、存続に励み、今まで以上に密な交流をすると共に、様々なの形で交流を図ることが出来ればと考えます。そして、新しい日系の歴史へ第一歩を踏み出したいと思います。

ブラジル日本都道府県人会連合会
会長 山田 康夫

image_print