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平野植民地=盗まれた運平胸像を再贈呈=恩人の没後百年を記念して=銅像溶かされ「再利用」か

平野運平銅製胸像を盗まれ、台座だけの無残な姿に

平野運平銅製胸像を盗まれ、台座だけの無残な姿に

 来月6日、平野運平没後百年を迎えるに際して、サンパウロ市カンブシ区エスタード大通沿いに位置する平野運平広場に設置され、盗難に遭っていた平野運平の胸像を再贈呈しようとの計画が平野農村文化体育協会(山下薫ファビオ会長)で持ち上がっている。昨年7月に眞子内親王殿下をお迎えした同地では、わずか9世帯ながらも、平野運平の功績を後世に残そうとの取組みを始めている。

 広場に設置されていた平野運平の胸像は、75年の平野植民地入植60周年をきっかけに建立された。その周辺を日系人があまり通らないことから、いったんはリベルダーデ区のカルロス・ゴメス広場に移転したものの、プレートが盗難被害に合い、再度もとの広場に戻された経緯がある。
 その後、母県の英雄を称えたいと静岡県人会が園内の除草や掃除に協力、通行人の集う場所にしようと桜の植樹も始めた。ところが、01年頃から高架式バス専用道路建設に伴い、広場は資材置き場となり、工事に支障があるとして胸像が撤去されていた。
 工事の後、広場に戻されたが、今度は盗難被害に。時期は不明だが、今月9日に本紙が訪れたところ、台座のみとなっていた。剥がされたプレート跡には、胸像の説明が手書きで加えられており、下部には《銅製胸像が消失した。再利用されたか? 嘆かわしい!》とポ語で書かれている。

盗難以前の様子(提供・平野農村文化体育協会)

盗難以前の様子(提供・平野農村文化体育協会)

 昨年10月にこうした惨状を知った同会は、胸像を再贈呈することを決定。以前、銅製胸像を鋳造した際の型が保管されており、現在、業者をあたっているという。同広場付近に貧民街があり再盗難の恐れがあることから、コンクリートでの胸像建造を検討している。
 同会の山下薫ファビオ会長は「平野氏はその偉業のみならず、共に入植した同志に対する献身、誠実さで賞賛される恩人だ。祖父からも『すべての入植者を常に気にかけ、思いやりの方だった』と聞いている」と話し、「今年は没後百周年の節目。平野氏の功績を後世に語り継ぐためにも、胸像を再贈呈したい」と思いを語った。
 なお、来月10日午前9時からは「故・平野運平師百回忌法要」が平野植民地にて執り行われ、野口泰在聖総領事の出席も予定されている。問合せは、同協会(14・99852・5533、99716・2316、Eメール=colonia.hirano@hotmail.com)まで。

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