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夫とは好対照な夫人のイメージ

就任式でのミシェレ氏(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

就任式でのミシェレ氏(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 元旦の大統領就任式で、ボウソナロ大統領夫人の株が随分上がった。表に出てきはじめたのが大統領当選後と間もなく、「福音派との結びつきが非常に強い人らしい」という情報しか入ってきていなかった▼だが、そんな彼女がたちまち国民の記憶に残ることを行なった。それが大統領就任式で行なった手話パフォーマンスだった。大統領の就任式で夫人がスピーチを行なうこと自体が異例だったが、ミシェレ夫人は全身を激しく駆使しての熱のこもった手話で、就任式を見守った人たちの心をつかんだ。それは、選挙がとうの昔に終了したにもかかわらず、いまだに労働者党(PT)を初めとした左翼攻撃を続けて呆れられたボウソナロ氏本人のそれよりも圧倒的に受けがよかった▼ただ、それがなくとも、コラム子的にはミシェレ氏の印象は悪いものではなかった。姿をはじめて見たのは大統領当選直後に行なわれたグローボのインタビューだったが、「すごく庶民的な感じのする若い女性」との印象を持ったからだ。女性蔑視であれだけ知られた夫君のこれまでの発言からしたら、随分と地味な気さえした▼たとえば、ボウソナロ氏同様の超保守の印象を持たれている米国のドナルド・トランプ大統領のメラニア夫人は東欧出身の元モデルだ。現在の容貌もその時代の派手派手しさが抜けきっていない。それで彼女の品性そのものを判断するのはフェアでないかもしれない。だが、トランプ氏自身が大統領になる前までは国際的美人コンテストの主催者のひとりとして有名で、自身のモデル・エージェンシーまで持っているような人。そうしたイメージも重なり、フェミニストの女性たちからのメラニア氏の受けが良いとは残念ながら言い難く、いまだに絶大な影響力を誇るオバマ前大統領のミシェル夫人に比べると、その人気は比較にならない▼それを考えるとボウソナロ夫人の場合は、そうした品性の疑問はない。また、就任式での立ち振る舞いを見る限りでは、ボウソナロ氏の亭主関白に従順なタイプにはとても見えない。むしろボウソナロ氏が彼女の機嫌をなだめるのにおろおろしているようにさえ見えた。「ボウソナロ氏一族」と言うと、本人のみならず政治家の息子3人まとめて問題発言連発の印象があるのだが、同夫人にはそのイメージを緩和する一服の清涼剤的な存在になれる雰囲気が感じられる▼そんなボウソナロ夫人のイメージとガラッと異なるのが、セルジオ・モロ法相夫人のロザンジェラ氏だ。夫のセルジオ氏は、ラヴァ・ジャット作戦でもボウソナロ政権においても、多くを語らず、寡黙に厳しい仕事を行なうストイックなイメージを持たれている▼だが、ロザンジェラ夫人はそれとは対照的な「ひとこと多い人物」だ。以前はそんな感じでもなかったが、大統領選で自身のインスタグラムでボウソナロ氏をなりふり構わず応援しはじめた頃からそれが顕著になってきた。「つべこべ言わずに不正と戦う候補に投票しろ」などとインスタ読者に言い放つ光景は、「この人の本職、弁護士のはずなんだけど、こんなに公に肩入れしていいの?」と思えたほどのものだった▼そして8日、ロザンジェラ氏はインスタで「もう新政府も決まったのだから、不平を言うのはやめろ」という投稿を行なったが、これが大不評だった。「野党を否定するの? 司法関係者なのに民主主義も知らないの?」「国民が不満言えない国がいいなら北朝鮮に行けば?」と、この件を報じるニュースのコメント欄は荒れた。さらには「そういえばAPAEの件はどうなったの?」と、自身がロビー活動を行ない、汚職疑惑まで持たれている件でからかわれる始末。ロザンジェラ氏はその投稿を1日で削除した。(陽)

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