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《サンパウロ州》隠れた海岸を守る「保護者」=カヤックで通ってゴミ収集

海岸でゴミを集めるレイス氏(3月31日付フォーリャ紙の記事の一部)

 サンパウロ州南部海岸の町、グアルジャー市には、サンガヴァと呼ばれる海岸がある。

 総延長90メートルの小さな海岸は、ゴエス海岸から続く、難易度中~高と評価されるトレイル(自然散策ルート)か、ボートでしか行けない。

 だが、海水の透明度は抜群で、緑に囲まれ、岩もある海岸は、静かなところで自然を満喫したい人や冒険好きには最適といわれる穴場の一つだ。サンガヴァ海岸や海岸線が20メートルしかないシェイラ・リマン海岸、サッコ・ド・マジョール海岸は、グアルジャー市の中でも、静かで人ごみもない海岸として知られているが、週末のサンガヴァ海岸には100人を超す観光客が集まり、カヤックが並ぶという。

 そんなサンガヴァ海岸に、カヤックで毎日通う男性がいる。サントス市在住のアンデルソン・レイス氏(40)だ。

 彼にとり、サンガヴァ海岸は、カヤックをこいだ後の疲れを癒すだけの場ではない。レイス氏は一休みした後、動物の餌などが入っていた大きなプラスチックの袋を手に取ると、観光客達が置き去りにしたゴミを集め始めるのだ。

 この海岸は、エンセアダ、ピタンゲイラス、トンボといった有名な海岸とは違い、陸から離れているため、ゴミを捨てるとそのまま、そこに残ってしまう。

 「啓蒙活動も行い、看板も立てたけど、心無い人にはそんなものは何の役にもたたない。残された手段は、自分達で拾って歩く事だけ」と言うレイス氏は、「ゴミを拾って歩く事に疲れちゃった人もたくさんいるけど、僕は仕事だと思っていない。僕にとっては一種のセラピーさ」と笑う。

 ゴミ収集に加わった事があるイアラ・シウヴァ氏(45)によると、夏の間は観光客も増え、鉛筆や日焼け止めクリームなどの容器、ペットボトル、インスタントラーメンの袋なども捨てられているという。

 サントス市のポンタ・ダ・プライアからシェイラ・リマン海岸までは、カヤックやスタンド・アップ・パドルなどで約30分。サッコ・ド・マジョール海岸までは約40分かかるという。サッコ・ド・マジョール海岸は、岩が多く、ボートなどで近づくのが大変なので、トレイルを利用する方が無難だという。(3月31日付フォーリャ紙&同紙電子版より)

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