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《ブラジル》広がる政治的分断=互いが互いを“悪者”に=対話の文化再構築が必要

激しく議論する連邦議員たち(参考画像・Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

激しく議論する連邦議員たち(参考画像・Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

 世界規模のマーケティング調査会社、IPSOSが行った調査によると、ブラジルは、異なる政治思想に対する寛容度が、調査対象27カ国の中でも低い水準にある事がわかったと14日付ブラジル国内紙が報じた。
 調査では、32%のブラジル人が、「自分と政治信条の違う人と会話しても意味がない(分かり合えない)」と考えていた。
 この数値は27カ国の平均の24%を上回っていた。この問いに、「そう思う」と答えた人の割合がブラジルより高かったのは、インド(35%)と南アフリカ(33%)だけだった。
 左派を自認する自営業のパトリシア・ジメネスさん(42)は、昨年の大統領選挙の際、政治信条の違いから実母と大喧嘩し、もう1年近く会っていないという。「私の堪忍袋の尾が切れたのは去年の4月。家族で夕食をとっていた最中に、母の話にうんざりして、荷物を持って『もう二度ともどらない』と言って出てきた」と語る。
 中道右派の学生エリキ・フェレイラさん(27)は、「大学の女性用トイレに『こいつらとは付き合うなリスト』が貼られて、中道右派支持の私の名もそこにあった。それ以来多くの人が私を遠ざけるようになった。私ももう議論には疲れた」と語る。
 IPSOSは、世界27カ国で、19歳から64歳までの人1万9700人を対象に調査を行った。調査対象になったブラジル人は約1千人で、多くが都市在住で、所得レベルも教育レベルも平均よりも高い人々だ。
 「自分と似たような考え方の人と居ると快適」と答えたブラジル人は40%で、調査平均の42%より低かったが、「自分と違う政治信条の人は国の将来を心配していない」と答えた人は31%で、平均の29%より上だった。「自分と違う政治信条の人は騙されている」と答えた人は39%で、これも平均値より2%ポイント高かった。
 「人は、自分の意見が間違っているという証拠を見せられても意見を変えない」と考えるブラジル人は39%いる。この事実が、「異なる政治信条の人々と話しても無駄」と思ってしまう事と関係があると、ブラジルIPSOSのCEO、マルコス・カリアリ氏は見ている。
 また、44%のブラジル人は「ブラジルでは政治思想の分断による危機が20年前よりも高まっている」と答えた。この傾向は世界的に高まっており、平均は41%だった。
 ジェトゥリオ・ヴァルガス財団の政治科学教授、マルコ・テイシェイラ氏は、「以前は、選挙で問われるのは政策の優劣であり、モラルではなかった。昨年の選挙では対立候補が互いを悪者にし、『善と悪』の対決のようだった」と語る。
 カリアリ氏も、「家庭での教育のあり方、会社での上下関係などが、対話の文化をむしばんでいる。このあり方が続けば、将来が心配だ」としている。

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