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県連故郷巡りカリフォルニア=150周年、満砂那(マンザナー)に平和を祈る=《8》=農業界における日系人の貢献

 前節末に「カリフォルニア州(加州)と聖州は似ている」と書いた。その理由は、ともに「国の機関車」的な州だからだ。
 08年の米国内総生産における加州の割合は13%で、文句なしの1位。人口も全米1位の3700万人。対する聖州は伯国内総生産で最多の34%を叩きだし、人口も4600万人。
 実は、南北アメリカ大陸で一番人口が多いのは聖州で、加州が2位。加州最大の都市がロスアンゼルスで人口380万人、ロス大都市圏なら1525万人。サンパウロ市の人口は1217万人、サンパウロ大都市圏だと2100万人を数える。ただし頭数だけ多くでも、経済力には直結しない。
 経済規模でいえば、加州の2017年時点での州内総生産額(GDP)は約2兆7460億ドル。一つの国としてみれば世界で8~9位となる。ちなみにブラジル全体の2018年GDP推計は3兆3388億ドル、2017年の聖州GDPは1兆1119億ドル(PPP)。聖州の方が人口は大きいが、工業生産高で加州に大きく差を付けられている。
 それもムリはない。加州には有名な「シリコンバレー」があり、アップル、インテル、ナショナル・セミコンダクター、Google、Facebook、アドビシステムズなどのソフトウェアやインターネット関連企業が多数生まれた場所であり、IT企業の世界的な一大拠点だ。
 聖州にもサンジョゼ・ドス・カンポスのエンブエル、サンベルナルド・ド・カンポの自動車産業地帯などがあるが、比較のしようがないぐらい差は大きい。
    ☆
 ロス在住の村松義夫さんから、そんな加州の農業事情を聞いていたら、「一世の80%は農業をやった。二世は半分、三世になると1割、四世、五世になるともう農業をやらない」傾向があるとのこと。ブラジルとそっくりだ。
 そして過去「日本移民は加州農業界で歴史的に大きな活躍をしてきた」と次々に5人の「キング」名を挙げた。
◎「ライス・キング」国府田敬三郎(こうだ けいざぶろう、1882年―1964年)は福島県出身の農場経営者。加州で大農方式による米「国宝ローズ」の大量生産に成功した立志伝中の人物。

「ポテト・キング」牛島謹爾(Public domain)

「ポテト・キング」牛島謹爾(Public domain)

◎「ポテト・キング」牛島謹爾(うしじま きんじ、1864年―1926年)は福岡県久留米市出身。1888年に渡米して加州ストックトン地方の荒地を開拓、苦闘のすえに良種のジャガイモの大量生産に成功。その農場で加州の半分以上、全米の1割を生産するほどだった。
◎「サンタマリアのレタス王」南弥右衛門(みなみ やえもん、1879年―1973年)。和歌山県西牟婁郡江住村出身。1905年に渡米。加州で農業労働者から身を興してサンタマリア平原で農場主となり成功を収めた。
 その他、村松さんは「セロリ・キング」の江藤為吉、「ペパーキング」の知野ジュンゾウを挙げた。
 やはり加州農業界における日系人の活躍には凄いものがあったようだ。(つづく、深沢正雪記者)

□関連コラム□大耳小耳

 ブラジルでも農業で活躍した移民とその子孫は枚挙にいとまがない。たとえば、ミナス州の現役「バナナ王」山田勇次さん、北パラナで「ラミー王」と呼ばれた故・市村之(すすむ)、レジストロを「紅茶の都」にした岡本寅蔵、「胡椒の都」トメアスー、ブラジルで初めてジュート(黄麻)栽培を広めた高拓生ら、バストスを「卵の都」にした日系養鶏家らなどなど。さらに農業器具製造・JACTO創業者の西村俊治さんは、ポンペイア農学校を作り、卒業生を北米に研修に送っていた。南米と北米の日本移民はやはり似ているというか、つながりがあるようだ。

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