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《ブラジル》国家衛生監督庁が吸入インスリンを承認=糖尿病の治療に新たな道?

Afrezzaの吸入器(Divulgacao)

Afrezzaの吸入器(Divulgacao)

 国家衛生監督庁(Anvisa)が5月30日に糖尿病治療薬として、吸入インスリンの使用を認め、3日付の官報に掲載したと4日付現地紙、サイトが報じた。
 Anvisaが承認したのは、米国のバイオテク医薬品会社マンカインド社が開発したAfrezzaだ。この薬はヒト遺伝子組み換え型の超即効型のインスリンで、粉状で販売されている。
 患者はこれを、掌サイズのアプリケーターに入れて吸引する。薬効成分は肺に入り、血管から速やかに吸収されて血糖値を下げる。
 ブラジルの糖尿病患者は1500万人とされ、その内の10%が1型、残る90%は2型と見られている。1型は自前のインスリンが枯渇して発病するタイプで、生活習慣の乱れからインスリンが減る、またはインスリンへの反応が鈍くなるのが2型だ。1型はインスリン注射が必要で、2型だと錠剤服用で事が足りる例が多い。だが、血糖値により、日1回~数回のインスリン注射が必要となる2型患者もいる。
 この注射の一部を代替するために使われるのが吸入インスリンだ。吸入インスリンは吸収されるのも効果が出るのも速いが、効果が薄れるのも速い。だが、家以外の場所で食事した時のように、人前で注射をするのがはばかられるような状況下でも、速やかにインスリンを摂取できる。
 ただ、Anvisaが承認した=販売解禁ではない。販売開始前にAnvisa傘下の医薬品市場規制会議所(CMED)が価格を決める必要があるからで、実際に販売が始まるのは数カ月先の見込みだ。米国での価格は150~400ドル(580~1550レアル相当)だ。
 また、吸入インスリンには、注射ほど小刻みに分量を調整できないという制限がある。注射の場合は患者の状態に合わせて、1単位、2単位、3単位のように分量を調整できるが、吸入インスリンは2、4、8単位の3段階でしか適用できない。
 また、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺繊維症などの慢性的な気管支系疾患患者や、喫煙者、18歳未満の人には使用できない。18歳未満への使用が制限されるのは、この年齢層の患者に関する研究が十分に行われていないからだ。

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