ホーム | Free | 【第24回ブラジル環境法会議】第24回ブラジル環境法会議=環境守る先進的な取り組み=緑の地球を守る法律家協会=ブラジル岡田茂吉財団施設で

【第24回ブラジル環境法会議】第24回ブラジル環境法会議=環境守る先進的な取り組み=緑の地球を守る法律家協会=ブラジル岡田茂吉財団施設で

サンパウロの連邦検察庁本部で開催された第24回ブラジル環境法会議の開幕セレモニーの様子

サンパウロの連邦検察庁本部で開催された第24回ブラジル環境法会議の開幕セレモニーの様子

 気候変動、環境紛争――こうした問題に対する法的回答について議論するべく、「第24回ブラジル環境法会議」は、サンパウロ市にあるブラジル岡田茂吉財団の施設にて500名を超える専門家たちを集めて開かれた。教育者や研究者、弁護士や裁判官、学生や環境法に関心のある各分野の専門家らが5月25日から29日の5日間、ディベートなど様々な催しに参加した。

 当会議は自然環境、生物多様性や先住民族の権利を守る他、環境法の制定・改善・強化に取り組む「緑の地球を守る法律家協会」が、24年前にブラジル岡田茂吉財団と共同で立ち上げたイベントだ。
 同日、このイベントと並行して「第14回ポルトガル語・スペイン語圏環境法会議」並びに「第14回環境法学士・修士課程学生会議」も開かれた。
 新しい世代の学生や法律家にも環境の分野に携わってもらいたいと、「緑の地球を守る法律家協会」は今年第8回目となるジョゼボニファシオ・デアンドラダ・エシルヴァ賞を開催。環境法分野の7つの部門で新たな学術論文が表彰された。

実践する

 第24回会議のオープニングには連邦検察庁のラケル・ドッジ長官も出席し、自然環境保護を保証するために連邦検察庁で実践されているイニシアティブの重要性を訴えた。
 サンパウロの連邦検察庁本部で5月26日夜、セレモニーが行われ、サンパウロ州検事長のジンパオロ・スマニオ氏や連邦高等裁判所のハーマン・ベンジャミン氏も出席した。
 本年、当会議は環境法に貢献のあった3名の女性(検察庁長官ラケル・ドッジ氏を初め、副長官サンドラ・クレアウ氏、第4連邦地方裁判所判事マルガ・テスラー氏)を表彰しました。

左からラケル・ドッジ長官、一人飛んでマルガ・テスラー、サンドラ・クレアウの3氏。「緑の地球を守る法律家協会」代表アナ・ヌスデオ氏より盾が授与された(Crédito: Divulgação MPF/SP)

左からラケル・ドッジ長官、一人飛んでマルガ・テスラー、サンドラ・クレアウの3氏。「緑の地球を守る法律家協会」代表アナ・ヌスデオ氏より盾が授与された(Crédito: Divulgação MPF/SP)

水権利

 ラケル・ドッジ氏指揮のもと、連邦検察庁は公共財としての水へのアクセスを人権に属する権利として認めるようになった。
 そのスピーチで、ドッジ氏は環境保全活動を広げるために、これまで実践もしくは協力してきた3つの活動分野(①不法な森林破壊や水源破壊といった犯罪行為の阻止、②「アマゾン保護」や「未来のための水」といったプロジェクトの推進、そして③連邦検察庁による世界的環境保全機関の設立について述べた。
 ③の機関は2017年ドッジ氏により提案され、翌2018年3月、ブラジリアで催された世界水フォーラムで設立された。連邦検察庁によると、すでに世界16ヵ国がそれに加盟しているという。
 ドッジ氏は同フォーラムの中で「自然には国境がなく、一ヵ国で起こることが地球規模で影響を及ぼすことになるという考えに基づいている」と同機関設立の動機を述べている。
 副長官のサンドラ・クレアウ氏は、受けた賞を2018年にガンで亡くした娘と伝統的な地域社会や原住民の女性たちに捧げると述べた後、環境保全の進展に気を緩めず力を注ぎ続けていくことの重要性を訴え、「彼女たちは私たちに未来、そして人類生存への希望を取り戻させてくれました」と述べた。
 連邦検察庁で行われたこのイベントでは、環境法が取り扱う分野に関する優秀な学術論文を発表した学士課程から修士・博士課程に学ぶ学生たちも表彰されている。

一人ひとりが何をするべきか

 環境資源というとき、すぐ法律や政治家がするべきことを考えがちだが、自分たちにもできることはあるだろか。
 ウミガメやイルカ、クジラやタツノオトシゴといった様々な生物が命を落とす原因となっているプラスチックごみ(海洋廃棄物のおよそ80%と言われている)と環境問題も、今回の会議で議論されたテーマの一つだった。
 こうした状況は陸上でも変わらない。野外におけるプラスチックごみの焼却もまた大気汚染の主要な原因となっている。研究論文「プラスチックごみの有毒汚染物質―報告」によると、市街の固形廃棄物のおよそ12%は何らかのプラスチック製品であり、全世界の廃棄物の40%は焼却されているそうだ。
 国連の環境機構によると、全世界で年間およそ3億トンのプラスチックごみが発生しているという。また2018年の暮れまでには、プラスチックごみの内わずか9%がリサイクルされ、14%がリサイクルごみとして回収されたとも報告されている。
 従って、消費者が自分自身を含む多くの人々の命、果ては地球に影響を及ぼす選択をするという力を持っているのだと自覚することが大切となる。
 2010年制定の第12305法により確立され、当会議でも言及された「静脈物流」システム(使用済み製品などの産業廃棄物を輸送する物流のこと。生産物を消費者に届けるのを「動脈物流」と読んだ場合の対立概念)もまた、国の固形廃棄物政策にとって重要なポイントの一つだ。
 それは、私たちが利用する製品のライフサイクルに責任を持つのは、工場や商店だけでなく、消費者や公権力であることを意味している。
 この法律には、不適切に処分すると環境に更なる悪影響を及ぼし、かつ市民の健康を脅かす6種の製品(電池、タイヤ、電球、電子製品、農薬、潤滑油)の静脈物流が定められている。なお医薬品や包装材といったその他のカテゴリの静脈物流への導入については今後、環境省と関係企業との間で話し合いが行われる。

自分の役割を果たす

 日常生活で、一人が一日に一度使い捨てのプラスチックコップの代わりにマグカップなど何度も使用できる容器を使えば、週に5つの使い捨てコップの消費を避けることができる。
 ブラジルでは、勤労者の3分の1がこうした使い捨てコップを提供する場所で働いている。そのため、仮に全員が使い捨てコップの使用をやめれば、平日の僅か5日間で17億個以上(重ねると5千メートル以上、アフリカ大陸の最高峰キリマンジャロの標高に匹敵します)の使い捨てコップを捨てなくてすむようになる。
 同機関によって提示されているもう一つの比較も注目を浴びている。もし各家庭が1日に1枚のプラスチック袋を一年間毎日消費すれば、人類全体で年間190億枚を消費することになる。その量を一列に並べると、地球と月を16往復する距離に相当するという。
 従って、プラスチック袋を段ボール箱やキャリーバッグ、もしくは再生原料で作った袋などで代用することが大切となる。

全ての人に基礎衛生を

 基礎衛生の問題は、ブラジル岡田茂吉財団並びに「緑の地球を守る法律家協会」による環境法会議で議論された重要なテーマの一つだった。
 衛生に関する国家情報システムの最新情報(2016年)によると、長年をかけて基礎衛生の整備は改善されつつあるものの、ブラジルでは今なお3500万人以上が上水の供給網にアクセスできないと、Trata Brasil協会は報告している。
 Trata Brasil協会のデータによると、水の損失も問題の深刻化の一因となっている。水漏れや水道メーターの検針ミス、もしくは盗水が水の損失の38%(平均)を占めており、国の南東部や北東部などの地方に継続的な水の配給問題を引き起こしているという。
 ブラジル岡田茂吉財団自然環境及び社会環境サステナビリティ部代表の、弁護士フェルナンド・アウグスト・デ・ソウザは「基礎衛生分野への投資には大きな工事が求められますが、基礎衛生政策には国、州並びに市町村間に統一されたビジョンが必要です。都市圏の場合の衛生政策はより広い行政区域で取り組まれなければならないからです」と述べている。
 イベントで表彰された学生についてはこちらからhttp://www.planetaverde.org/noticia/instituto/3072/vencedores-do-viii-premio-jose-bonifacio-de-andrada-e-silva(※出典: 緑の地球を守る法律家協会)

地球を守るためにするべきこと

 持続可能な開発目標は、貧困をなくし、地球環境を守り、全人類が平和と繁栄を享受することを保証するためのもの。国連はそれに普遍的な影響力を持っている。
 持続可能な開発目標は、第24回ブラジル環境法会議におけるサンパウロ州環境公社社長パトリシア・ファガ・イグレシアス教授(サンパウロ大学博士課程修了)による講演でも取り上げられた。
 2012年リオで開かれた「国連持続可能な開発会議」では17の新たな開発目標が定められ、現在の世界が直面する環境的・政治経済的喫緊の課題に取り組むうえでの一連の目標が定められた。世界各国が2030年までに全ての目標を履行することになっている。

image_print

こちらの記事もどうぞ