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MUFGバンク=ブラジル進出100周年=藤田・二宮USP講座に寄付=日伯関係者がJHで記念式典

中央女性がデボラ大使、その右が木下頭取、佐藤所長、山田大使、マリア・リガヤ藤田大使未亡人、二宮教授。デボラ大使から左にUSP学長、法学部部長ら

 MUFGバンク(ブラジル)が今月、当地進出100周年を迎えたことを記念し、国際協力機構(JICA)がサンパウロ総合大学(USP)法学部国際法・比較法学科で今年3月から始めた「日本開発経験研究プログラム(フジタ・ニノミヤチェア)」に寄付を表明した。これを公表するために23日、JICA、MUFG、在聖総領事館が共催してサンパウロ市のジャパン・ハウスで式典が行われ、関係者ら120人が集まり、意義あるプログラム開始とMUFGの節目を祝った。

小西副頭取の音頭で乾杯

 この研究プログラムは、日本が明治以来どう発展してきたかを教える講座を開設し、日伯の関係強化に資する人材の育成を図るためのもの。
 JICA理事長の北岡伸一氏が東大助手だった時代(1973~74年)、藤田エジムンド、二宮正人両氏が留学し、二人のチューター(学士課程の学生への学習助言を行う者)をし、その将来を嘱望した。

ブラジルにおけるMUFGの歴史を公演する二宮教授

 それに応えて故藤田氏は日系人初の外交官となり、アジア局長、インドネシア大使、韓国大使などを歴任。16年に66歳で惜しくもガンで亡くなった。二宮氏は弁護士、日伯の国際比較法のUSP教授として現在も活躍している。二人に続く人材を育てるために、この講座が設けられた。
 式典では、まず佐藤洋史JICAブラジル所長が同プログラムの趣旨を説明。3月から学部で明治維新以降の法律整備などの講座を開設し、9月からは大学院でも講座を、来年中ごろからは他大学学生や社会人にも開かれた短期講座も始め、そこから日本の大学への留学の道を開く。佐藤所長は「11月4日午後7時から、法学部貴賓室で北岡理事長が特別講演『日本の近代化の歴史と発展の経験』をするので、ぜひ皆さんご来場を」と呼びかけた。
 続いて、MUFGバンク(ブラジル)の木下誠頭取が挨拶し、横浜正金銀行に始まる歴史に触れ、「MUFGの中南米進出は1918年のアルゼンチンが最初。今年がブラジル100周年。日本人移民の方々とブラジルの皆さんのご支援のおかげ。日伯関係に寄与する何かを考えていたところ、JICA様からこの話を頂いた。両国の関係のさらなる発展を願っている」と寄付を決めた経緯を語った。
 北岡JICA理事長がビデオメッセージを通じて同プログラム開設の経緯をのべ、フロリアノ・アゼベードUSP法学部学部長のあと、ヴァハン・アゴピアンUSP学長が「外部の視点を持ち込んでくれるこの講座は、大学国際化の助けになる。より複雑化する世界の問題解決に寄与する見方を与えてくれるもの」と高く評価した。

挨拶する山田大使

 山田彰日本国大使はまず藤田大使を顕彰、二宮教授を称賛し、「二人に続く人材に出てきてほしいと期待する。今回の寄付は、人材育成を尊重するMUFGの企業姿勢を現すもの。多くの企業がこれに続いてほしい」と語った。
 ブラジル外務省サンパウロ事務所のデボラ・ヴァイネル大使も政府を代表して挨拶。日本に留学経験のあるUSP在学生、卒業生が日本に関して学ぶ意義を体験的に紹介。二宮教授が、ブラジルにおけるMUFGの歴史を半時間講演した。その後、場所をJH内レストランに移し、小西良一MUFGバンク(ブラジル)副頭取の音頭で乾杯し、和やかにカクテルを楽しんだ。

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