高層アパートが林立するサンパウロ市北部の一角に、こつ然と「モダンな竹林」が出現する。「ジャパン・ハウス内にあってもいい」と思わせるほど、レストラン「NŌSU」(ノズ)は「今の日本」を感じさせる現代建築だ。
正直言って、ある程度以上の高級日本食レストランでは、食材やメニュー、シェフの腕に大きな違いを探すことは難しい。食材の仕入れ先、修業先にしても選択肢が限られている。それにライバル店を研究しながら作ったメニューだから、どれもきれいで、ちゃんと美味しい。
最も店の差が生まれやすいのは場の雰囲気だ。その点、「NŌSU」は圧倒的なモダンさの中に、竹林に囲まれた優雅な隠れ家で食事をしていると感じさせる。目でも味わえる大胆な和風デザインだ。
「サンパウロ市にはたくさん日本食レストランがあるが『ここが一番美しい』と言ってくれるお客さまが多いのが嬉しい」。共同経営者マルクス・ヴィニシオス・テンペラニさん(45)はそう胸を張る。建築家はオターヴィオ・デ・サンクチス氏。レストランや店舗設計で高名な人物だ。
マルクスさんは、2月に紹介したブラジル郷土食レストラン「コンパードレ」の共営者でもある。あのテンペラニ家が16年に始めた挑戦が日本食店だった。「僕は10年前まで一切、日本食を食べなかった。でも日本食大好きな妻と食べ回っているうちに魅了され、自分でもやりたいと思うようになった」と動機を明かす。
最初に、昼定食か盛り合わせセットを食べれば、値段に合わせて店を代表するメニューが一通り楽しめる。そこで自分が気に入った寿司を選び、次からは選んだ寿司を中心に個別に頼むのが、常連客のスタイルのようだ。
3種類ある昼定食の「NŌSU1」は67レアル(9種の寿司刺身とデザート)、「2」は84レアル(10種の寿司刺身と焼き魚、デザート)、「3」は114レアル(14種の寿司刺身と焼き魚、デザート)。
もしくは純和風の寿司刺身盛り合わせ「コンビナード・トラディショナル」(Combinado Tradicional)は2人分で240レアル。創作寿司が楽しめる「シェフのお薦めセット」(Combinado do Chef)は2人分で320レアル、「特別セット」(Combinado Especial)は2人分が370レアル。
マルクスさん一番のお気に入りのネタは「タイセイヨウクロマグロ(Bluefin Tuna)」。日本ではクロマグロの仲間として有名。当地レストランでは滅多にお目にかかれない食材だ。ネタによって季節限定のものもあり要注意。サンパウロで一番美しい日本食レストランの雰囲気を一度味わってみては?
Nōsu – Culinária Japonesa