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遠隔教育で日本語教師養成コース=私立大学が開始、日本から受講可=ポ語で日本語教授法を指導=汎米日系人協会とUSPが協力

来社した矢野敬崇会長とモラレス松原礼子教授

 今年2月からブラジル・パンアメリカン日系人協会(APNB、矢野敬崇会長)とクルゼイロ・ド・スル大学と提携して行う「日本語教師養成コース」が開講した。このコースは遠隔授業で日本語・ポルトガル語の教授法を学ぶことができ、修了すればブラジル教育省が認める正式な教員資格を得ることができる。この講座の開設に携わったAPNBの矢野会長と、運営に協力するサンパウロ総合大学(USP)のモラレス松原礼子教授が来社し、同コースの詳細を語った。

 日本語教師要請コースは、「日本語の学習を通して、ブラジル人とブラジルの国際化に貢献する」ことを目的として開講された。提案者は矢野会長。非日系人の学習者が増えていることをクルゼイロ・ド・スル大学にアピールし、講座開設が決定した。
 公立校、私立校で日本語授業の需要はあるものの、多くの日本語教師が正式な教員免許を持たないことが課題となっている。これを解消するために、APNBとクルゼイロ・ド・スル教育グループの遠隔授業部門であるクルゼイロ・ド・スル・バーチャルが提携し、遠隔授業のコースとして開講した。
 「5月の時点で140人以上受講している。受講者はほぼ非日系人です」と矢野会長は説明する。学習期間は通常の大学と同じ4年間、受講料は月300レアルと格安だが、教材の開発にはUSP東洋学科文学部日本語講座の松原教授が全面的に協力しており、本格的な内容となっている。
 「USPに許可を得て教材開発に協力しています。うちの科の学習者は55人で、8割以上が非日系人で男性の方が多い。でも卒業しても雇用に繋がらず、大きな課題になっています」。
 松原教授によれば、現在は言語学の教授の監修を受けながら「ポ語による日本語教授法」を開発し、教科書を作成している。授業は6課まで。「USPの日本語科の卒業生2人が講師となっています。日本語能力ゼロでも学習は可能。もちろん、日本語能力3級レベルがあれば楽に受講できますよ」。
 昨年は対面授業形式で始めようと動いていたが、上手くいかず遠隔教育に切り替えた。矢野会長は、遠隔教育になったメリットとして「ネットを通して世界中どこからでも受講可能だから、在日ブラジル人も受講できる。ポルトガル語の教師資格も得られるので、需要はある。すでに浜松での受講拠点の開設は交渉済み」と力強く語る。
 正式な教員資格が取りやすくなることで、日伯両側で日本語教育のテコ入れになる可能性があり、非日系の学習者が増えることで日本留学の道がさらに開け、日伯交流深化につながりそうだ。
 同講座の詳細や受講手続きはサイト(https://www.cruzeirodosulvirtual.com.br/graduacao_dados/letras-portugues-e-japones-licenciatura/)で確認できる。