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《ブラジル》殺人発生率が約11%減少=17年のピークから減少傾向

殺人事件の容疑者を逮捕した警察(Carlos Soares/パラナ州市警)

 ブラジル治安フォーラム(FBSP)は10日、ブラジル治安年鑑を発表。それによると、2018年に国内で発生した殺人事件は5万7341件で、6万4021件だった2017年より10%以上減った。10、11日付現地各紙・サイトが報じている。
 殺人発生件数が減ったのは3年ぶりで、2014年の水準に戻った。しかし、警察官によって殺された人の数は前年比20・1%増の6220人で、統計開始以降、最多となった。「昨年発生した殺人事件の10・8%は警察の手によるもの」という計算になる。
  これらの数字は、FBSPが各州保安局から、殺人、強盗殺人、傷害致死、警察の手による死亡事件のデータを集めて集計したものだ。
 「殺人事件数の増減は決して一つの要因だけでは説明がつかない」これが専門家の一致した見解だ。FBSP事務局長のサミーラ・ブエノ氏は、「殺人事件減少の理由として三つの仮説が立てられる」としている。
 一つ目は、「各州政府による、殺人事件を減らすための取り組み、特に警察機構の調整が功を奏した」で、ペルナンブッコ州とエスピリトサント州で顕著だ。
 二つ目は、「大型犯罪組織同士の抗争が、特にブラジル北部、北東部で沈静化して、殺人事件数が減少した」だ。サンパウロ州が本拠の州都第一コマンド(PCC)とリオ州が本拠のコマンド・ヴェルメーリョ(CV)は各地に勢力を伸ばし、傘下の組織も増やしており、16年~17年に激しい抗争を繰り広げていたが、18年はそれが幾分和らいだ。
 三つ目は「人口学的要因」だ。ブラジルでは近年、出生率が下がっている。殺人事件の被害に遭いやすいのは15~29歳の男性で、別の調査では、「こうした年齢層の男性は、2030年までに現状の4分の3に減る」との報告も出ている。
 ボウソナロ政権やいくつかの州政府は、「犯罪に厳しい我々の態度が殺人事件減少に寄与した」と誇るが、殺人事件が減ったのは就任前の18年のことで、19年の今年の状況はこれまでのところ横ばいだ。
 サンパウロ州限定で見ると、人口10万人あたりの殺人発生率は9・5件で、全国平均の27・5件を下回るが、サンパウロ州は、「警察が多く殺す州」の一つでもある。同州で発生した殺人の19・7%は警察の手によるものだ。
 ただし、「警察が犯罪者たちを多く殺すほど治安が良くなり、殺人発生率が下がる」という仮説が成り立つわけでもない。リオ州は殺人事件の22・8%が警察や治安関係職員の手によるものだったが、州全体の殺人事件発生率も39・1件/10万人と、全国平均を上回っている。
 また、殺人件数が減少したとはいえ、ブラジルの殺人発生率27・5件は、米国(5・32)、アルゼンチン(5・19)、ポルトガル(0・74)、日本(0・24)などと比べ、依然、極めて高い水準にあることは変わらない。(ブラジル以外は17年のデータ)

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