ホーム | ブラジル国内ニュース | リオ市=8歳少女射殺が大きな波紋=ヴィッツェル批判が高まる=知事就任後5人目の子供の死

リオ市=8歳少女射殺が大きな波紋=ヴィッツェル批判が高まる=知事就任後5人目の子供の死

アガタちゃんの事件を伝える21日付G1サイト

 20日夜、リオ市アレモン地区で、アガタ・ヴィットーリア・サレス・フェリックスちゃん(8)射殺事件が起こった。同事件は度重なるリオの警察による一般市民殺害事件の深刻さを反映しており、ウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事の強硬な治安対策や銃に対する姿勢に対する批判や、セルジオ・モロ法相の治安対策への問題提起が起きている。22、23日付現地紙が報じている。
 アガタちゃんは20日夜、家に帰るため、母親と共にバンに乗っていたが、軍警が発射した銃弾を背中に受けた。
 このときバンは、別の乗客が降車するために駐車し、荷物を取り出すために後部が開いた状態になっていた。その間に銃弾が後部座席に座っていたアガタちゃんに当たってしまった。アガタちゃんはすぐに病院に運ばれたが、21日の未明に息を引き取った。
 軍警はこの時の状況について、「周辺で銃撃戦が起こっていた」と説明した。だが、運転手や周辺にいた人々は、「銃撃戦などなかった」と証言している。目撃証言者によれば、バイクに乗った男性を追いかけていた軍警たちが放った銃弾2発の内の一つがアガタちゃんに当たったという。さらに、「バイクの運転手も武装はしていなかった」と主張している。
 このアガタちゃん射殺事件で、リオ州民のウィルソン・ヴィッツェル知事に対する不信感が高まっている。それは、同知事が就任して以来、州内の警察によって死亡した子供(12歳以下)が5人目となったためだ。銃弾を受けたが命に別状がなかった子供も含めると、これで9件目だ。
 さらに、4月には音楽家が警察の特別部隊による誤認で80発の銃弾を受けて死亡する事件があり、8月中旬には5日間で6人の若者たちが、捜査を行っていた警官の放った銃弾を受けて亡くなるなど、深刻な事態が相次いでいる。
 ヴィッツェル知事は昨年の州知事選の際に強硬な治安政策を公約に掲げており、警察がマシンガンを持つことを容認する過激な警備持論でも知られている。
 また、アガタちゃんをはじめ、犠牲者の多くが黒人であることもあり、「人種差別反対」との抗議が、アガタちゃんの死後、通りだけでなく、リオ州議会内にまで入りこんで行われている。
 また、この事件後、ロドリゴ・マイア下院議長がセルジオ・モロ法相提案の犯罪防止法に関し、「警察の暴力に対する処罰により気をつかうように」と注文をつけはじめた。その点は、同法案が「手ぬるい」と批判されていたところでもある。

image_print