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《ブラジル北東部》原油汚染の健康被害70件=被害者の3割は清掃ボランティア

バイア州サルバドール市の海岸で回収された原油塊(Igor Santos – Secom)

 ブラジル保健省が7日、原油漂着が起きた北東部9州の内、健康被害が報告されているのは、3州70件で、公共衛生上のリスクは小さいと発表した。
 保健省によると、健康被害が報告されているのは、ペルナンブコ州66件、セアラー州1件、バイア州3件の70件のみで、他の6州からは具体的な被害報告は出ていない。ペルナンブコ州ではこの他にも31件、原油による健康被害かを確認中の症例があるという。
 健康被害が報告された70件の内、57%の被害者は男性だ。被害者の平均年齢は28歳で、27%は海岸などで原油回収に参加していたボランティアだという。
 保健省は、ペルナンブコ州からの健康被害報告が多い事について、同州は原油漂着が早い時期から起き、公務員やボランティアが積極的に原油回収作業に参加したが、回収作業にあたった人達へのオリエンテーションが不充分で、保護具などを装着せずに現場に行き、原油や汚染された砂などに直接触れたりした人が多かったのかもしれないと説明。だが、州や市の保健局が、回収作業にあたった人達の健康管理により細やかな注意を払っている証拠である可能性にも触れた。
 原油によって起こる健康被害は、皮膚にあらわれる発疹や痒み、火傷、腫れの他、呼吸器系の炎症や咳、頭痛、吐き気、腹痛、嘔吐、下痢などが挙げられている。健康被害の程度は、原油や汚染した砂、海水に触れていた時間や皮膚に付着した量などによって異なる。
 原油は、27度を超えると有害な成分が気化しやすくなる。原油には発癌性物質や、神経性の症状を引き起こす物質なども含まれており、取り扱いには注意が必要だ。
 原油によって引き起こされる病気は、貧血や各種の炎症などで、長期間の接触は白血病などの癌も招く。
 保健省からの注意事項は、原油には直接触れない、原油回収作業中は使い捨てのマスクや原油に触れても溶け難いタイプのゴム製手袋や長靴、プラスチック製のオーバーシューズなどを使う、子供や妊婦は原油回収に参加しない、原油に触れたら石鹸と水でよく洗う、皮膚に付いた原油やタールは調理油やグリセリンまたはラノリン入りの製品で洗い落とす(ガソリンや揮発油、アルコール、アセトン、シンナーといった溶剤類は使わない)などとなっている。
 なお、7日までの原油漂着箇所は、9州104市409カ所に上っている。(7日付アジェンシア・ブラジル、8日付G1サイトより)

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