ホーム | 日系社会ニュース | 110周年=記念事業の上棟式と法要開催=国士舘スポーツセンターで=「原沢パビリオン」を棟上げ

110周年=記念事業の上棟式と法要開催=国士舘スポーツセンターで=「原沢パビリオン」を棟上げ

原沢パビリオンで行われた法要の様子

 日本移民110周年記念のメイン事業として、ブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)がサンパウロ州サンロッケ市の「国士舘スポーツセンター」で建設を進めている「原沢パビリオン」。現在、建物の約70パーセントが完成し、上棟式が11月17日午前10時から、関係者約50人が見守る中で行われた。式の後には餅まきが行われ、建物側の土地に2本の桜も植樹された。

 最初にイビウーナの浄土宗日伯寺の櫻井聡祐(そうゆう)住職がお経を上げ、その間に参列者が順次焼香した。櫻井住職は、「古来、家を建てることは人間の一大事業。人知を超えた天の助けがあり、これまでけが人も出ず進んでこられたことに感謝し、今後も落成の日まで無事に工事が終えられますように」と祈願した。
 文協の水本セルソ典満専任理事は、「国士舘スポーツセンター」が、日本の国士舘大学がブラジルでの大学設立を目的に80年より同地を徐々に買い取り、97年に経済的理由で文協へ寄贈されるまでの経緯を説明。続いて原沢カルロスさんが、同センターの土地を、日系二世や三世にも有効活用できるようにと、父である故原沢和夫さんが希望していたことを紹介した。
 在サンパウロ日本国総領事館の楠彰首席領事は、「偶然にも令和元年と重なった年に、日系社会の新しい10年の始まりを一緒に祝えたことは喜びです」と祝辞を述べた。
 ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会の菊地義治実行委員長は、「このセンターを改良すれば日系社会とブラジル社会への素晴らしい財産になる。皆で協力すれば色々なことができるということが証明でき、日本移民のもたらしたすばらしい美徳が残る。110周年は感謝と希望で次の時代へとつなげよう」とあいさつした。

(左から)故原沢和夫さんの息子カルロスさん、妻周子さん、娘ルシーさん

 「原沢パビリオン」は、菊地実行委員長が提唱した「日系社会100年の計」に賛同が寄せられ、日系社会の「核」になる新たな場所として建設が進められてきた。工事と周辺土地の整備に係る総予算300万レアルは、故原沢和夫さんの遺族による100万レアルを中心に、菊地実行委員長らの尽力による寄付で集められた。

 上棟式には故原沢さんの妻周子(かねこ)さんと娘ルシーさんも出席した。周子さんは「文協に土地が寄贈されてから20年以上手つかずで、将来の日系社会のために責任を持って何かを作りましょうと言う人が現れなかった。次世代に使ってもらえるようにと願っていた夫の夢が実現化している」と語った。
 菊地実行委員長は「体育館と原沢パビリオン、そしてもう一つ、様々なショーなどを行える施設を作ることも検討している。文協は主な収入源がないので、このセンターを活用できればと思う。桜祭りには毎年2日間で約3万人が来場し、マレットゴルフ場も利用されている。サンパウロからの交通のアクセスも道路が拡張され、日々快適さを増している。同センターの充実に努めることが日系社会の活性化にもつながる」と語気を強めた。

image_print