ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ヴァザ・ジャットで連邦検察がグレン氏を起訴=「ハッカーと共謀」との理由で=捜査もなく最高裁も保障の中=国内外で大きな反響

《ブラジル》ヴァザ・ジャットで連邦検察がグレン氏を起訴=「ハッカーと共謀」との理由で=捜査もなく最高裁も保障の中=国内外で大きな反響

グレン・グリーンウォルド氏(Agencia Brasil)

 連邦検察庁は21日、米国人ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏を、セルジオ・モロ法相などの携帯電話のハッキングに関与した容疑で、6人のハッカーたちと共に起訴した。グレン氏はこれを「ヴァザ・ジャット報道への報復」と反論しているが、これまでは捜査対象になっていなかった同氏が突然起訴されたことは、国際的にも問題となっている。22日付現地紙が報じている。

 

 グレン氏は、同氏が主宰するサイト「ジ・インターセプト・ブラジル」が昨年6月からはじめたヴァザ・ジャット報道の基になったと思われる、モロ法相やパラナ州連邦検察ラヴァ・ジャット作戦主任のデウタン・ダラグノル検察官の携帯電話の通信記録のハッキングに関与したとして、実行犯のハッカー6人と共に起訴された。

 連邦警察は7月にハッカーが逮捕された後、実行犯とグレン氏が交わした会話も分析。グレン氏は犯罪者たちから距離を置こうとしており、「犯罪に関与した形跡はない」と見ていた。

 だが、連邦検察庁のウェリントン・オリヴェイラ検察官は、連警が捜査したものと同じ、グレン氏とハッカーとの間の会話を参考にしつつ、「グレン氏は、(携帯アプリの)テレグラムへの侵入が続いていることを知っていながら犯人たちと連絡を取り続け、データを消去するよう助言した」とし、ジャーナリストという立場を悪用して「犯人をかくまおうとした」と判断した。

 ヴァザ・ジャット報道では、ハッカーが違法に入手した情報を基にした報道を倫理的に問題とする世論もあった。だが、ブラジルにはハッカーからの情報を使用することや情報源を明示しないことを違法とする法律はなく、グレン氏はこれまでも、ハッキングに関する捜査を受けていなかった。

 起訴を受け、グレン氏は21日午後、「これはヴァザ・ジャット報道に対する報復行為」で、憲法が保障する「報道の自由にも反する」と、強く反論している。

 また、今回の起訴は、昨年8月に最高裁のジルマール・メンデス判事が出した、「ヴァザ・ジャット報道を理由にしたグレン氏への捜査はいかなる理由でもなされてはならない」との命令に逆らったものでもある。

 同氏が国際的に著名なジャーナリストということもあり、今回のグレン氏の起訴をめぐっては、「報道の自由に反する」とロドリゴ・マイア下院議長が疑問を呈しているのをはじめ、国内外で反響が大きい。ニューヨークタイムスなどの大型国際紙は「報道の自由を脅かす」と報じており、国連も「同氏を起訴する理由を説明せよ」との要望を検察庁に出している。

 オリヴェイラ検察官は以前にも、ブラジル弁護士会のフェリペ・サンタクルス会長がモロ法相を「組織犯罪の長」と批判したとして、同会長を起訴したことがある。

 

 

 

 

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