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連邦地裁=SISUの大学振り分け差し止め=採点ミスに公式サイト不調=このままなら入学延期も

ENEMの受験生(Agencia Brasil)

 【既報関連】サンパウロ州連邦裁判所は24日、教育省に対し、昨年11月実施の国家高等教育試験(ENEM)における諸問題が解決するまで、統一選択システム(SISU)による公立大学への学生振り分けの公表を差し止める命令を出した。25日付現地紙が報じている。

 ENEMは17日に採点発表を行ったが、同日と翌18日に、同試験で採用した印刷所に起因する採点ミスが発生した。全国で390万人ほどが受験したうち、このミスで5974人が影響を受けたと、教育省は20日に公表した。

 このミスにより教育省は、受験生たちのSISUへの登録期日を、20日だったところを26日までに延期していた。

 SISUでは毎年、ENEMの点数をもとに、公立大学への受験生の振り分けを行う。この過程は、大学合格のためのプロセスの一つだ。教育省の見込みによると、150万人が登録すると見られている。

 だがこの登録においても、既に受験生たちから、ネット上で数百件の苦情があがっている。

 それによると、SISUの公式サイトが、受験生を二重登録してしまい、定員の足切りが不正確な形で起きてしまっているという。

 通常、受験生はSISUで二つの大学の学部を選択できることになっているが、最初に選択したものが合格基準に足りている場合は、第2希望のものは無効になるシステムになっている。だが苦情を申し立てた受験生によると、この第2希望のものが消えず、残ったままになっているケースがあるという。

 アブラアン・ウェイントラウビ教育相はこのトラブルを否定し、「左翼に関連した人たちが騒ぎ立てている」などの解釈を披露している。

 これを受け、サンパウロ州連邦裁判所は、ENEMを直接管轄する国立教育研究院(INEP)と教育省に対し、「全ての受験生が問題なく次の選抜段階に進めることを書面で示すこと」を命じ、それが認められない限りは、公立大学への学生の振り分け公表を認めないとの命令を下した。

 これに対してINEPは、「ミスは次段階への問題はない」として控訴を行っていたが、連邦第3地域裁は26日にこの訴えを退けた。この過程が差し止められた状況が続くと、公立大学の入学にも影響が出かねない。

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