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天皇陛下=令和初の誕生日、還暦祝う=サンパウロ市立劇場で1200人が万歳!=市庁舎を日の丸色に特別照明

ブラジル日本商工会議所の村田俊典会頭の音頭で会場全員が「天皇陛下、万歳」と盛大に三唱した

 今上陛下が2月23日に令和になって初めての誕生日、しかも還暦を迎えるのを祝って日系主要5団体が「天皇陛下誕生日祝賀会」を2月28日午後7時半から、サンパウロ市立劇場で行い、約1200人が盛大に万歳三唱をした。当日はサンパウロ市役所が協賛し、御茶ノ水橋を挟んで斜め向かいに建つ市役所庁舎を日本の国旗色にライトアップする特別な趣向も行われた。

 1911年に8年がかりで竣工したサンパウロ市立劇場は、パリのオペラ座を模して建設された芸術の殿堂だ。22年に現代美術週間(Semana de Arte Moderna)がここで開催され、ブラジル近代芸術の潮流を生んだ歴史的な建物でもある。
 祝賀会を共催した5団体代表が舞台に上り、コーディネーターの福原カルロス氏は「今晩は忘れられない夜になる。令和初の天皇誕生日にして、還暦は日本で大事な節目の年なので特別な催しをすることになった」と開催主旨を説明。
 5団体を代表してブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長は、昨年10月22日に宮中で行われた即位礼正殿の儀に日系社会を代表して招待される光栄に浴したことにお礼を述べ、「陛下は皇太子殿下時代、サンパウロ市に足を運ばれ、ヴィオラ演奏を披露された。クラシック音楽好きな陛下に相応しい場所、サンパウロ市にとって特別なこの劇場で、陛下が新しい人生のステップに進まれたこの特別な日を、皆で心からお祝いしたい」と祝辞を述べた。
 来賓の野口泰在サンパウロ総領事は「ブラジルほど皇室への敬意を表する場所は他にない。昨年2度行われた令和祝賀イベントも日本で報道され、日本国民から歓迎を持って受け止められた」と述べた。
 さらにルイス・アルヴァロ・サレス・アギアル・デ・メンデス・サンパウロ市国際関係局長は、1958年の三笠宮ご夫妻来聖からの皇室と市の関係を振り返り、「この特別な日を祝って市庁舎を日の丸色にライトアップした。世界最大の日系子孫人口を持ち、それにふさわしい貢献がもたらされてきた市であることを誇りに思う。皇族の次なるご来伯を期待したい。アリガトウゴザイマス」と日本語で締めた。
 5分間の陛下の生い立ち紹介映像が流され、池田ヒューマニズム交響楽団の演奏になった。約80人の楽団員が40分間にわたって交響詩「フィンランディア」などを披露し、「誕生日の歌」が演奏されると会場総立ちで手拍子が送られた。
 最後に主催者と来賓が舞台に上がり、ブラジル日本商工会議所の村田俊典(としふみ)会頭の音頭で、会場の約半分近くを占める非日系人を含めて全員が、皇室の弥栄(いやさか)を祈って「天皇陛下、万歳!」と盛大に三唱した。
 演奏会後は、招待客のみが貴賓室に招待されてパーティーとなり、平田ジョエさんが歌う長渕剛の楽曲に合わせて、乾杯を行った。貴賓室横の2階ベランダに出ると、斜め正面に市庁舎が日の丸色にライトアップされているのが見え、参加者らはそれを背景にして思い思いに記念写真を撮っていた。

来場者の上園真由美エリカさん

 来場者の上園真由美エリカさん(55、三世)は「姉に誘われて来た。この劇場に来たのも、天皇誕生日も初めて。本当に忘れられない特別な夜になった」と感慨深そうに語った。

ファブリシオ・コスタさん

 非日系のファブリシオ・コスタさん(27)に来場した理由を聞くと、「恋人がオーケストラの一員なので参加した。天皇誕生日に参加したのは初めて。陛下にはとても温和で調和を求める人、平和的な印象を持っている。日本の象徴に相応しいお方」と語った。

 

 

 


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 天皇陛下誕生日祝賀会のパーティーが行われた市立劇場2階の貴賓室は、1922年に現代美術週間(Semana de Arte Moderna)が開催された由緒ある場所で、まるで中世ヨーロッパの貴族のお屋敷のような壮麗な空間。そこで、日系社会で最も愛唱されている長渕剛の『乾杯』が歌われるというのは、ある意味、日系文化がブラジル文化の一部を成していることの証かも。