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《ブラジル》政府が非常事態の承認要請=コロナウイルス禍への対策用=赤字上限額は2千億レに?

新型コロナウイルスによる最初の死者が出た後の記者会見(Govesp)

 【既報関連】連邦政府が17日、連邦議会に対し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ブラジルが非常事態に陥っている事を承認するよう、要請する意向を表明したと17、18日付現地紙、サイトが報じた。
 連邦政府が17日に出した声明によると、非常事態を認めるようにとの要請は、健康と雇用を守るためにパウロ・ゲデス経済相が17日に公表した新型ウイルス対策に必要な財源を確保するためだという。
 非常事態が認められれば、種々の方策で支出が増え、基礎的財政収支の赤字が予算案の上限額を超えた場合も、財政責任法に問われずに済む。
 政府の経済スタッフによると、連邦政府は20日に、基礎的収支の赤字上限額を1550億レアルと見込んでいると発表する予定だという。この額は既に、予算案で承認された1240億レアルを上回っているが、予算案の赤字上限額は、今年の国内総生産(GDP)成長率を2・1%と想定して算出されている。
 16日に発表された、金融市場関係者によるGDPの予想成長率は1・68%で、予算案作成時の2・1%を既に下回っているが、コロナウイルスの感染拡大により、GDPの成長率予想が更に下方修正される事は目に見えている。

新型コロナウイルスの対策委員会開設を告げる大統領府広報担当のオタヴィオ・バロス氏(Marcos Corrêa/PR)

 また、感染拡大に伴う経済活動の低下で税収が減れば、現行の予算案のままでは新型ウイルス対策費などを確保する事が困難になるのは明白だ。
 しかし、連邦議会の承認を得、非常事態が宣言されれば、赤字上限額の調整は政府のさじ加減次第となる。エスタード紙は、新型ウイルスの感染拡大を阻止するための対策費の支出や、感染拡大に伴う経済損失などを埋め合わせ、失業保険や企業救済用の支援金の払い出しなどで、基礎的収支赤字額は2千億レアルに及ぶと予測している。
 ただし、赤字増額は、新型ウイルスのせいだけではなく、原油価格下落に伴うロイヤルティ減少(上院の独立税務機関の見積もりで170億レアル減)や、公社民営化法案の承認見送りで生じるエレトロブラスの民営化に伴う収入(見積額160億レアル)減も財政を圧迫する見込みだ。
 ロドリゴ・マイア下院議長やダヴィ・アルコルンブレ上院議長(共に民主党・DEM)は相次いで、非常事態承認要請は最優先で審議する意向を表明。新型ウイルスの感染拡大を止めるために必要な事には協力を惜しまないとの姿勢を示した。非常事態を宣言した場合の効力は今年一杯だ。
 連邦政府は17日、新型ウイルス対策に必要な医療資材50種に関し、輸入関税を、9月末日まで免除する事を決め、貿易協議所(Camex)に通達した。なお、議会は先に、新型ウイルス対策に必要な資材輸出を禁じる法案を承認済みだ。

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