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《ブラジル検察》先住民の大量病死を警戒=金鉱夫のコロナ持ち込みで

金鉱夫対策について話し合うために集まったヤノマミ族(白い被り物の様なものをつけている方)とイエクワナ族の人々(VICTOR MORIKAWA/ISA)

 法定アマゾンに住むヤノマミ族はコロナウイルスへの免疫力が弱く、ガリンペイロ(金鉱夫)がウイルスを持ち込めば「大量病死」を招き得るとロライマ州検察局が警告を発したと4日付現地サイトが報じた。
 ヤノマミ族の居住地は全国で最も大きく、ロライマ州とアマゾニア州にまたがる9千ヘクタールの土地に、2万6780人ほどが住んでいる。
 社会環境院(ISA)とミナス連邦大学の共同研究によると、ヤノマミ族は、法定アマゾン内に住む先住民の中でも、感染症に対する免疫力が極めて低いという。また、ロライマ州州都のボア・ヴィスタにあり、同州唯一のロライマ総合病院から遠ざかるほど、免疫力は弱まるという。
 このため、国立インジオ保護財団(Funai)は、ロライマ州で最初の新型コロナウイルスの感染者が確認された3月以降、同財団職員も含め、先住民以外の人がヤノマミ族の居住地に近づく事を制限してきた。

 だがこの制限は、もともと違法な金鉱夫には無視されており、ヤノマミ族の居住地には約2万人が入り込んでいるという。ロライマ州政府は金の採掘を認めていないため、金鉱夫達の働きはすべて違法な経済活動となる。
 ロライマ州検察局やISAによると、同州の医療体制は非常に脆弱な上に、先住民リーダーからの通報で、昨年以降、先住民に接触を図る金鉱夫が増えている事が明らかになっている。
 先住民居住地にコロナウイルスを持ち込む可能性があるのは金鉱夫だけ。万が一ウイルスが持ち込まれれば、ただでさえ少数派部族なのに、その40%が命を落とす可能性があるとして、州検察局やISAは警戒を強めている。

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