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米国ブラジル極右政権 コロナで仲良く1、2フィニッシュか

トランプ、ボウソナロ両大統領(Alan Santos/PR)

 新型コロナウイルスに関して今月中に、ブラジルの感染者、死者数が共に全世界で2位になることはほぼ間違いないと思われる。感染者に関してはすでに5月の時点で2位に躍り出ているが、死者の数でも現在は世界第4位。3位のイタリアとの差も3日夜の時点で1033人差。
 ここ数日で約1000人ずつ差が縮まっているから、もしかしたら本号が出る頃には抜いているかもしれない。差が7500人ほどの2位イギリスとの差も同じような感じで縮小しているから、こちらも今月の中旬くらいには抜きそうな勢いだ。 
 そうなると、もうそこから先は1位アメリカ、2位ブラジルという、世界を代表する極右大統領の1、2フィニッシュが待っているだけだ。トランプ、ボウソナロ、両大統領ともに、コロナが上陸する前に「大したことない」と相手にせず、上陸してもなかなか対策に乗り出さなかった。
 それどころか共に、経済活動が止まっては困るとばかりに「自粛をやめろ」というデモを煽り、感染が爆発すれば責任を州に押し付け、果ては中国の陰謀と結びつけようとし、多くの専門家が効用を疑問視しているクロロキンを治療薬として一方的に認定しようとする。
 ボウソナロ氏がトランプ氏のことを敬愛していることは世界的に有名だが、「なにもコロナ禍の拡大経緯や対応の仕方まで真似しなくても」とは、3万人以上の命が犠牲になった後では、そう思いたくもなる。州や保健省が、「欧米の対策不足から学ぼう」と、死者が1000人も満たない時期に早くから自粛に乗り出したのをずっと妨害し続け、防げた命を無駄にし続けたのだからなおさらだ。
 すると今度は「アンチ・ファシズム・デモ」まで付いてきたから驚きだ。トランプ氏の場合は白人警官による黒人男性の殺害、ボウソナロ氏の場合は自分が推し進めた「反議会・反最高裁」のデモや、家族が捜査されそうになったことに対して軍事クーデターを匂わす言動をしたことなど、それぞれの国の民衆が怒った理由は違う。
 だが、同じ時期にデモが広がっており、米国のデモがブラジルにも相乗効果を与えそうな雰囲気が出てきている。トランプ大統領はそれを「テロリズム」と呼び、ボウソナロ氏も、米国に比べればまだ大して大きな被害も出てないうちから「テロ対策法」なるものを議会で通させようとしている。ボウソナロ氏にとってみれば、「トランプ氏という存在がいる限り、自分は大丈夫」と思いたいところだろう。
 だが、ボウソナロ氏もあまり過信しないほうが良いような気がする。本人はもう今の時点で2022年の大統領選のことを考えているつもりだろうが、それ以前に今年11月の米国の大統領選でトランプ氏が当選する保証はどこにもない。
 むしろ現況で伝えられているのは、対抗馬のジョー・バイデン氏の優勢ぶりだ。まだ、どうなるかは今のところはわからない。だが、仮にこの選挙でトランプ氏が敗れるようなことがあれば、自分の言動を正当化できる強力な後ろ盾を失い、国際的に孤立する立場に追い込まれかねない。
 もうすでに、アマゾンの森林火災問題と、今回のコロナ対策の件で国際的に目をつけられているからなおさらだ。
 そして国内のことも気にしたほうが良いと思う。連邦警察介入疑惑やフェイクニュース捜査。さらには18年大統領選をめぐって、モウロン副大統領とのシャッパ(候補者連記名簿)自体が選挙高裁で当選無効の判決を受ける危険性もある。また、下院には40通近くの罷免請求もすでにある。
 果たして、これらを全て乗り切れるか・・・。「いざとなりゃ、軍事クーデターでも起こせばいい」と、大統領三男のエドゥアルド氏は実際に思っているようで、よく口にしている。だが、果たしてそんなに簡単にいくだろうか。はなはだ疑問だ。(陽)
 


 

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