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《ブラジル》スラム街で立証された隔離の効果=住民の協力で平均以下の死亡率

パライゾポリスの路上で、外出時はマスク着用をと呼びかける人々(PMSP)

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために、社会的距離を保ち、感染の輪を断ち切る目的で推奨される社会隔離。その有効性を、立証しているファヴェーラ(スラム街)がある。
 スラム街は貧しい人達が密集して住み、医療の手も届き難いなど、コロナウイルスの感染拡大が起き易く、死亡率も高い地域の一つだ。事実、サンパウロ市の場合、スラム街が多い市周辺部での死亡率は3倍との調査結果も出ている。
 だが、そんな常識を覆したスラム街がある。それは、サンパウロ市南部にあり、7万人以上が住むパライゾポリスだ。
 パライゾポリスはヴィラ・アンドラーデ区の中にあるが、保健省が道路毎の感染者数や死者数のデータも掲載していた5月18日までのデータでのパライゾポリスの死亡率は10万人あたり21・7人、ヴィラ・アンドラーデ区の死亡率も30・6人で、サンパウロ市の平均の56・2人を大きく下回っている。
 また、サンパウロ市市役所が集計している区単位の最新統計でも、ヴィラ・アンドラーデ区の死亡率は大きな変化は見せていないというから、同地区で取られているコロナ対策が他の地区よりも有効である事が数字で実証されたといえる。
 パライゾポリスは、ボウソナロ大統領が反隔離と言い始めた時も、真っ先に「信じるな」「外に出るな」というメッセージを発した地区だ。
 同スラムの住民組織は、サンパウロ市内でも感染者が確認され始めた3月初旬に、「道の会長(presidente da rua)」という独自の監視システムを導入した。
 スラム内の会長は652人おり、各自が50軒を担当。各々は、住民が不要不急の外出をしていないか、感染者は出ていないかなどを監視し、住民相互の協力を促すだけでなく、フェイクニュース(虚報)が流れれば正しいニュースを流すなどの活動を行っている。彼らの働きは、今月はじめにワシントンポスト紙にも掲載された。

 パライゾポリスの住民達はその他にも、スラム街として救急車や医師などと契約。州政府と掛け合って、スラム内の公立学校二つを感染患者用の隔離施設として利用する許可も得た。祖母がコロナで亡くなり、自分も感染したという女性は、スラム内の学校で隔離生活を行う事で、同居していた他の家族への感染を防ぐ事が出来たという。
 スラムの住民組織が採用したコロナ対策は全部で12あり、様々なところに呼びかけて得た食料品や衛生用品で、基礎食料品セットや基礎衛生用品セットを作って配布したり、女性を中心として大量の食べ物を用意し、食べ物がなくて困っていた人達に配るといった活動も行った。住民組織が手配し、住民の手で作ったマスクは、スラムの住民はもちろん、病院その他の医療機関などにも配られた。
 スラム街は一般的に、社会隔離が困難とされているが、地域住民が一体となって取り組めば、コロナウイルスの感染拡大を抑制し得る事を、パライゾポリスの人々は立証している。(25日付エスタード紙より)

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