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下本氏が白寿者に敬老金=27人に感謝状と共に贈呈=01年続き2度目の心遣い

下本会計事務所の会長室で日系人が勝ち取った信用について熱っぽく語る下本さん

下本会計事務所の会長室で日系人が勝ち取った信用について熱っぽく語る下本さん

 6月18日の『ブラジル日本移民の日』112周年を記念して、ブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)が毎年実施している「白寿者表彰」に合わせて、元サンパウロ州議会議員の下本八郎さん(二世、84歳)が、対象者の27人に感謝状と最低給料分の敬老金を贈呈した。下本さんが白寿者に敬老金を贈呈するのは2001年、同氏66歳の誕生日を記念して95歳以上の168人に贈ったのに続いて2回目。今回も27人が「日系コロニア発展に貢献した」ことに感謝して実施した。

 下本さんは「私はもう政治家ではないし、老齢ですから、これから議員に立候補する気も毛頭ありません。ですから人気取りのためではなく、心からブラジルで99歳まで生きてこられた方々に感謝したいと思って、感謝状を贈らせていただきました」と説明した。
 それに先立ち、「ブラジルには飢餓(きが)にひんして死んだ人はおりません」と前置きした。「お年寄りに敬老金を払う金があったら、まず貧乏人に払うべきだ」と言う声もあるだろうと予想し、6期24年サンパウロ州議を務めたベテラン政治家の下本さんはそうかわした訳だ。
 「私も年ですので、世のため人のためになることをしたい」と口火を切り、ポルトガル語で「栄光ある日本移民の歴史の灯はまだ消えてはいない。今回表彰された日本移民一世、二世の27人の方々と同じ苦労を経験してきた私にとって、彼らには肉親以上の同朋同族意識を感じます。その輝くような歴史をつづる中で、日本人、日系人は『正直、誠実、真心、信用』をブラジル社会から勝ち取ってきました。この価値観は他国の移民には見られない日本人特有の不動の精神的価値であります。そのご尽力に対し、ささやかではありますが、敬老、慰労、謝礼の意味を込めて1040レアルの小切手を添えて感謝状を贈らせていただきました」と感情の高まりを抑えきれない様子で『感謝状』授与の理由を明らかにした。
 小切手は家族の人、友人が代理で受け取れるように配慮した。
 感謝状には日本語で「感謝状。〇〇殿。あなたは、ブラジル国において多年にわたり日系コロニア発展のために尽くし、日系人の信用を高めるうえで、多大な貢献をされましたので、ここにその功績をたたえて、深甚なる感謝の意を表します。2020年6月18日、下本八郎」と書かれている。
 最後に「私にならって、コロニアに一人でもいいから感謝状を贈る意味を理解して、同じことをしてくれる人が出てきてくれればうれしい」と希望を述べた。

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