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安倍首相辞任発表=日系社会から惜しむ声=「残念ですが、お疲れさま」=標語『JUNTOS』残す

2014年8月、移民史料館で5団体代表を前に「日伯の太い関係を作りたい」と語る安倍首相

2014年8月、移民史料館で5団体代表を前に「日伯の太い関係を作りたい」と語る安倍首相

 安倍晋三首相が28日午後に突然、辞任することを発表し、ブラジル日系社会でもすぐに動揺が広がった。というのも安倍氏は、首相としては初めて2度も来伯した当地とは縁の深い政治家だからだ。2004年9月の小泉純一郎首相(当時)以来10年ぶりに、14年8月に安倍首相は来伯した。それに加え16年8月21日にはリオ五輪開幕式に出席し、スーパーマリオ姿を披露して世界をあっといわせる舞台となった。日系団体代表らに今回の辞任に関するコメントを尋ねた。

 

晋太郎氏が山口県人会へ贈ったレコードを見る安倍首相

晋太郎氏が山口県人会へ贈ったレコードを見る安倍首相

 ブラジル山口県人会は安倍首相の父・元外務大臣の安部晋太郎氏の時代からつながりがある。現会長の伊藤紀美子さんは、「この度の辞任発表には大変驚ました」と第一声を上げ、「安部総理の父上の頃からのご縁で、当時珍しかったレーザーカラオケやLP版を寄付して頂いておりました」と思い出す。
 14年来伯時、公式予定にはなかったが突然、山口県人会館に立ち寄った。「あの時は、涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。用意していた特大パネルも『わぁ僕の故郷だ』と喜んで頂き、パネル反対側に展示していたレコードコーナーも『これ親父が寄付したやつでしょ』とすぐ気づいてくれ、良くして頂きました』と懐かしむ。

山口県人会で用意したパネルを背に記念撮影する(左から)西村顧問、伊藤事務局長、要田会長、安倍総理、昭恵夫人

山口県人会で用意したパネルを背に記念撮影する(左から)西村顧問、伊藤事務局長、要田会長、安倍総理、昭恵夫人

 伊藤会長は「残念に存じますが、ご在職中のご厚情に心から感謝申し上げます。ぜひまたブラジルにいらしてください」と締めくくった。
 ブラジル日本文化福祉協会の石川レナート会長は、「歴代最長の約8年も日本の総理として日本国を支えてきただけに今回の辞職発表は残念ですが、本当にお疲れ様でした。安倍総理は6年前に来伯し、日系社会の後継者問題などを心配していただいたことを今でも鮮明に覚えています。文協やサンタクルス病院にも来訪頂きました。来伯時のスピーチで仰っていたスローガン、共に将来に向かってという願いを込めた『JUNTOS』という言葉は、現在文協のスローガンにもなっています。残りの職務を全うして、辞職後はゆっくりと体を休めてください」とねぎらいの言葉を贈った。

2016年、除幕式を祝う呉屋会長(当時、右)と中前総領事(当時、左)

2016年、除幕式を祝う呉屋会長(当時、右)と中前総領事(当時、左)

 ブラジル日本都道府県人会連合会の市川利雄会長も、「歴代最長、本当にお疲れ様でした。就任中は総理来伯やJICAボランティア増員など、日伯関係が更に深まるような計画を行っていただきました。そのようなことがブラジル日系社会からも高く評価されていることを感じます。総理来伯時にピニェイロスで行われた昼食会スピーチは今でも覚えています。その時に仰っていた『JUNTOS(共に将来に向かって)』から学び、現在の県連のスローガンにもしています。またこの就任期間で県庁と県人会の関係もより強固になったことを実感しています。本当にありがとうございました」と感謝した。
 前県連会長の山田康夫ブラジル滋賀県人会会長は、「歴代最長総理就任、本当にご苦労さまでした。長かっただけに辞任発表を知り、驚きと悲しい気持ちでいっぱいですが、何よりも体の健康が第一です。よく8年近くの長い期間、激務を遂行されたと感じています。辞任後はゆっくり療養して、体調を整えてください。そして、また元気な姿をブラジルにも見せてくださることを待ち望んでいます」と期待した。

2014年8月、イビラプエラ公園内の慰霊碑を訪ねた安倍夫妻

2014年8月、イビラプエラ公園内の慰霊碑を訪ねた安倍夫妻

 日伯文化連盟の吉田エドアルド理事長は、「この度、安倍晋三首相の辞任表明を受け、感慨深い気持ちです。首相は世界各国に認められた立派な政治家だと言えます。持病の悪化で退くことになりましたが、我々、日伯文化連盟一同安倍首相の早期回復を祈っております」とのメッセージを寄せた。

 

唯一2度来伯した首相=日系社会に強い印象残す

 

2014年8月、ずらりと並んだ日系の連邦下議、州議、市長、市議らを前に、挨拶する安倍首相

2014年8月、ずらりと並んだ日系の連邦下議、州議、市長、市議らを前に、挨拶する安倍首相

 安倍首相夫妻は2014年8月1日、中南米5カ国歴訪の最終訪問国としてブラジルを訪れた。首都ブラジリアでジウマ大統領(当時)と首脳会談し、日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議等に参加した。これにより、首脳会談の頻繁な実施や外相対話の例年開催が始まった。
 首相はこの訪問を、双方が利益と発展を享受する「戦略的なパートナーシップの新たな夜明け」と位置づけ、経団連も参加した日伯ビジネスフォーラム、日系団体関係者らとの懇談会に出席。JICA日系社会ボランティアの増員、次世代日系人指導者招聘制度の拡充が決まるなど、コロニアとっても嬉しい置き土産を残した。

 文協大講堂での記念講演では、1100人余りの参加者と異例の記念撮影を実施し、山口県人会館を電撃訪問し、関係者を狂喜させた。
 昭恵夫人もブラジリアの日本語モデル校、カルモ公園の桜祭り、憩の園、サンタクルス病院、リベルダーデ広場などを訪問し、気さくに触れ合い好印象を残した。
 2度目は2016年8月、現職首相としては34年ぶりにリオを訪問し、リオ五輪開幕式に華を添えた。その際、地元日系人や在留邦人と懇談も行った。
 安倍首相が揮毫した「日伯繁栄 JUNTOS(一緒に)」が刻まれた記念碑は、ブラジル日本文化福祉協会の前庭に設置され、2016年5月21日に除幕された。

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