ホーム | 日系社会ニュース | 東大法学部経て司法試験受験=日本生まれの四世・嘉悦さん=国際派弁護士に向け一直線

東大法学部経て司法試験受験=日本生まれの四世・嘉悦さん=国際派弁護士に向け一直線

来社した嘉悦さん

来社した嘉悦さん

 東大法学部を卒業して弁護士を目指す日系ブラジル人――「二宮先生もブラジル国籍を持つ人を聞いたことが無いというので、恐らく私が初めてでは」――来社した嘉悦レオナルド裕悟(かえつ・ゆうご、22、四世)さんはそう説明する。今年3月で東京大学法学部2類を卒業し、現在は聖市の二宮正人法律事務所で研修のため滞伯している。同法学部には1~3類があり、2類は「法律プロフェッション・コース」。留学でなく、入学試験を受けて東大に入学・卒業した初めての日系ブラジル人といえそうだ。

 嘉悦さんは、母方から見ると日系四世にあたる日系子弟。日系三世の母が医学部留学生として訪日した際、日本人の父と知り合い日本で結婚した。日本で生まれ育ったが嘉悦さんは、「アイデンティティは一般的な日本人とも、ブラジル人とも違う」といった認識だという。
 母は日本語も達者だが、家庭ではあえてポルトガル語で息子に話しかけていた。「母のお陰で日常会話は自然と身についていた」と振り返る。母はプロミッソンの安永家の一族だ。安永忠邦さんの末弟の安永ルイス(留意治)さんの娘。その関係で、幼少時から10回前後はプロミッソンに1~3カ月程度は滞在し、日系社会にもなじんでいる。国際的な感覚は家庭の中から養われたようだ。
 英検1級、国連英検A級も取得し、東大在学中に訪日外国人旅行者に外国語で案内するための国家資格「全国通訳案内士」をポルトガル語、英語、フランス語でも取得した。
 通訳案内士の資格を取得後は3年間で500人以上を案内、ブラジル人旅行者はもちろん100人を越える団体に日本を紹介して歩いた。「ブラジル人投資家のVIPや中東王室の家族旅行を案内したこともあります」と貴重な経験を振り返る。
 18年には、群馬県のNPO大泉国際教育技術普及センターが主催する「第13回ブラジル青少年フェスティバル」の講演者講演として招かれて体験を話した事もあり、在日ブラジル人コミュニティとの関係も保っている
 「日本やブラジルというよりは、もっと国際的に活躍したい」という考えから渉外法律事務所の弁護士になることを決め、昨年11月には司法予備試験に合格。8月に司法試験を受験、1月にその結果がでる。すでに日本国内の「四大法律事務所」の一つから内定を受けているという。
 将来的には「二宮先生のように書籍の翻訳などもやってみたい」と経験や語学力を活かした展望を語り、「日本で渉外弁護士の経験を積み、いずれ弁護士としてブラジルでも活動したい」と目を輝かせた。

 

大耳小耳 関連コラム
     ◎
 嘉悦さんは母が留学生なので、いわゆるデカセギ子弟ではない。日本にいるデカセギ子弟というと日本語もポルトガル語も中途半端といった問題も発生している。とはいえ、19年3月23日付本紙では、そんなデカセギ子弟の中から、日本の司法試験に一発合格し、在日ブラジル人初の弁護士となった照屋レナン・エイジ弁護士のような存在も出てきていることを紹介した。嘉悦さんによれば「京都大学の在学中の日系人を知っている」とのこと。日系人であることをあまり表に出さない人を入れれば「もしかしたら一定数いるのでは」と話す。在日ブラジル人定住化30年の今年らしい朗報といえそうだ。

 

 

image_print

こちらの記事もどうぞ