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《ブラジル》母乳銀行の在庫が底をつく!=保健省がキャンペーン開始

新生児の命をつなぐ母乳(Agencia Brasilia)

 昨年来、新型コロナのパンデミックがあらゆる分野に影響を及ぼしているが、産婦人科医協会連合(Febrasgo)が行った調査によると、連邦直轄区と20の州では母乳銀行(bancos de leite humano)の在庫不足が深刻化しており、保健省が「母乳寄付キャンペーン」を開始したと19日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 同連合によると、2020年3月以降、これら21連邦自治体では母乳銀行の在庫不足が深刻化しており、リオ・グランデ・ド・ノルテ州では在庫がゼロになっているいるという。
 母乳は種々の病気に対する抗体や各新生児に適した栄養素を備えた完全栄養源で、新生児が誕生直後に病気や炎症で苦しんだり、肥満や糖尿病などの慢性疾患を抱えて生活したりするリスクを減らす事ができる。そういう意味で、母乳は新生児死亡率を下げ、将来もより健全な生活を得るための要因の一つだ。
 母乳を提供する事による恩恵は母親の側にもある。授乳や搾乳は、乳腺の発達を促し、産後の回復を助けるし、乳がんや卵巣がんにかかるリスクを減らすからだ。

 だが、様々な理由で授乳できない母親がいるため、新生児達の健全な成長を助けるため、母乳を集め、供給しているのが母乳銀行だ。ブラジル国内には母乳銀行が224カ所、搾乳を行ったり母乳を集めたりする収集所が216カ所(保健省によると母乳銀行222カ所と収集所220カ所)がある。
 昨年は延べ18万2千人が22万9千リットルの母乳を母乳銀行に提供した。提供量は前年より2・7%増えたが、保健省によると、必要量の64%に過ぎないという。
 在庫が逼迫している事を受け、保健省は19日にオンラインで全国規模の「母乳寄付キャンペーン」の開始を宣言した。オズワルド・クルス財団会長のニジア・トゥリンダーデ氏はこのイベントの中で、「母乳は子供が最初に受ける予防接種。新型コロナのパンデミックで皆がワクチン接種に注力している今も、母乳の重要性を忘れてはならない」と強調した。
 母乳銀行の所在地などは保健省の公式サイト(http://portalarquivos.saude.gov.br/campanhas/doacaodeleite/)

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