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《ブラジル》ボルソナロ氏「国民総武装化」へ=銃保持大幅緩和の大統領令突如=反発続々「国民が欲しいのはワクチン」

銃のイメージ(Agencia Brasil)

 ボルソナロ大統領は12日夜、2019年に出した銃所持などに関する四つの大統領令の改定版を出し、銃や弾の所持数を大きく緩和した。しかし、コロナ禍に対する対策が不十分な中で、なぜ今、銃問題を優先させる必要があるのかを疑問視する声が相次いでいる。13、14日付現地紙、サイトが報じている。
 今回改定された大統領令によると、窓口となる陸軍によって銃の所有が認められ、正式に登録されている人は、1人につき4丁までだった銃の所有数上限が6丁に拡大された。
 「CAC」と呼ばれる射撃の愛好家や銃の収集家、狩猟者に求められていた正規の技術認定証をクラブなどが出す認定証でよいとした上、軍の許可がなくても、射撃の愛好家グループは60丁、狩猟者には30丁までの銃所有を認めている。
 軍がコントロールすべき火器のリストも更新し、12・7ミリ口径の銃やその弾、1900年より前の製造の火器、照準器などのアクセサリー類をこの範疇から外した。銃の登録有効年数も5年から10年に延長されている。
 CACに属する人が1年間に使える弾の数も、使用が制限されている種類の銃用が1千発から2千発に、一般的な銃の場合は最大5千発へと大幅に増えている。
 ブラジル国民の銃所有数は2020年に前年比で91%と急増中だ。他方、パンデミックで社会隔離が叫ばれているにも関わらず、殺人事件は増加している。ボルソナロ大統領は昨年4月22日に行われた閣僚会議で「国民総武装化」を唱えており、犯罪増加を招くなどという反発の声が続出した。

2020年7月4日の昼食会でのボルソナロ氏(Isac Nóbrega/PR)

 昨年末には、回転銃や拳銃の輸入関税免税を決め、最高裁に差し止められたばかりだ。今回の大統領令改定も、国民総武装化という考えを促進する内容といえる。
 大統領は今月2日、前日の議長選で当選したばかりのロドリゴ・パシェコ、アルトゥール・リラ上下両院議長と会談を行い、「優先してほしい法案」として、「子供を学校に通わせず、家庭で行う教育(ホームスクール)」その他の極右、福音派のイデオロギーに則った法案とともに、銃保持の件も盛り込んでいた。だが両議長は「行政、税制改革とワクチン対策を優先する」として難色を示していた。
 大統領は2019年に、大統領選での公約に基づいて銃の所有や携行に関する大統領令を出した。この時も「他に優先する事項がある」として、当時のロドリゴ・マイア議長によって審議を先延ばしされた経緯がある。
 だが、今回の大統領令改定は強い反感を招いている。それは、国民がコロナ禍で苦しみ、連邦政府のコロナ対策に不満を抱いている最中に出されたものだからだ。医療崩壊が起きているアマゾナス州マナウスでは、1月14日に酸素不足による窒息者まで出ているし、在庫不足でワクチン接種を中断する自治体が続出している中なのに、特に急ぐ必要はないはずの大統領令改定を行う姿勢からは現状認識の甘さを伺われるとの厳しい声が上がっている。
 議長選直後に反ボルソナロを宣言したロドリゴ・マイア元下院議長は、「国民が今欲しがっているのは銃ではなく、ワクチンだ」と言ってボルソナロ氏を強く批判している。
 批判の声は味方からもあがっており、下院第一副議長のマルセロ・ラモス下議(自由党・PL)は「大統領令の中身以上に、これが議会を通したものでなく、大統領が一方的に出した法案であることが問題だ」と疑問を呈し、「通したいことがあるなら、法案として議会に出し、議論するべきだ」と説いた。

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