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《ブラジル》昨年7月のピーク時より悪化=7日間平均死者数が過去最多=この期に及んでマスク否定する大統領

感染拡大の最中に行ったアクレ州訪問で生じた人ごみと、マスクも着けずに応じる大統領(Alan Santos/PR)

 昨年2月26日の新型コロナの初感染者確認から丸1年。この24日には死者数が25万人の大台を超え、7日間の平均死者数が過去最多を記録して昨年のピーク時よりも明らかに酷い記録を更新中の25日、ボルソナロ大統領は今更ながらにマスク着用に否定的な発言を定例ライブで語り、メディアから総反発を食らっている。
 大統領いわく、子供がマスクを使うと頭痛や集中力不足、意欲低下、めまい、疲労感などの悪影響が出るという研究結果をドイツの大学が発表したから使うのを止めたという。
 保健省の統計での25日現在の感染者は前日比6万5998人増の1039万461人、死者は前日比1541人増の25万1498人だった。
 保健省の統計での感染者は3日連続で6万人以上増えている。直近7日間の新規感染者は5万1405人/日で、2日以来の5万人超えだ。16日は3万7834人/日まで落ちていたが、その後は増加に転じた。
 直近7日間の死者は1149人/日で2日続けて最多を更新し、昨年のピーク時を完全に超える事態になっている。1100人超えは14日以降3度目、1千人超えは1月23日から連日だ。
 25日の死者1541人増は昨年7月29日の1595人増に次ぐ2番目だが、メディアは25日の死者は1582人で7月29日の1554人を超え、最多と報じた。
 感染者や死者の増加は病床の占有率上昇とも関係があり、リオ・グランデ・ド・スル州は26日から全州を黒レベルとし、緊急なもの以外の手術停止など、各地で規制強化が続いている。

若者の死者数が上昇

 変異株出現や3密発生などによる感染の加速化や医療体制逼迫などで、若い層の死者が増えている。20日付現地紙によれば、60歳未満の死者は、昨年4月の32%以降減少し、11、12月は23・1%に下がったが、1月は24・9%に上昇。60歳未満の人は総人口の85%を占めるが、死者総数では25・6%だ。
 逆をいえば、60歳以上の人は人口の15%だが、死者の74・4%を占める。80歳以上は人口の1・8%なのに死者の24・4%となり、高齢者への予防接種の必要性が良くわかる数字となっている。
 セアラ州のカミーロ・サンタナ知事は25日、同州は感染拡大の最中にあり、3密防止のため、26日の大統領訪問時も大統領とは会わないと発表。大統領は24日アクレ州、25日フォス・ド・イグアスと連日、各地を訪問中だが、彼や同伴する閣僚の多くはマスクを着用しておらず、人ごみも作り出している。

ファイザー購入拒む大統領

 コロナに対する大統領の言動や現政権のコロナ対策に対しては否定的な評価が多く、罷免請求や検察庁内からの告発が続き、連警もパズエロ保健相の捜査を行っている。
 最も新しく批判対象となったのは、上院が24日に承認したワクチン入手を容易にするための法案にある「副反応が起きた場合は国や自治体が責任を負うとの項目に拒否権を使う」との発言だ。
 同じ文言はオズワルド・クルス財団が輸入、製造するオックスフォード・ワクチンに関する契約書にもあるが、同ワクチンに関しては国家衛生監督庁(Anvisa)の承認前に購入契約などを行った。
 同じ点を理由にファイザー社のワクチン購入を拒み続けている姿に、上議の一人は「25万人が命を失うという事態を前にとるべき態度ではない」と酷評した。
 上院が承認した法案に「正式登録されたワクチンは民間企業や自治体も購入できる」とある事を受け、連邦第1地域裁は25日、アマゾナス州政府に、10日以内に人口の70%に接種するためのワクチン購入を認める判決を出した。

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