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特別寄稿=腐敗し政治化された我が司法=アメリカ政府から手痛い批判=パラグァイ在住 坂本邦雄

ウリセス・キンターナ下院議員(本人のフェイスブックより)

 ここ数日の間に我が国(パラグァイ)は立て続けに、アメリカ合衆国から二つの痛い批判の打撃を受けた。
 その最初の一つは、最近の各国の人権事情を評価する、恒例の年刊報告書の中に見られ、我が政府をして唖然たらしめる内容のものである。
 幾多の問題の中で、先ず特筆されるのは、「我が国司法界が腐敗し、且つ政治化された素行・行状」である。
 次の第二の打撃は、エステ市の次期市長選に立候補する、前大統領カルテス派の下院議員ウリセス・キンターナ氏が「独自の著しい腐敗問題」を指摘され、米政府が同氏のアメリカへの入国ビザを拒否した事である。
 この「著しい腐敗」とは外交言語では重大な表現で、即ち「最上の、この上もない」落度を意味する。
 でも、同下院議員の少なくとも慰めは、かかる形容詞は彼だけではなく、幾多外にも存在する、恥知らずの政治家連にも当てはまる事である。
 国務省の同報告書は、パラグァイの司法界の悪評価は、遺憾にして国際化していると強調し、嘆いている。
 この事実は、他の嘆かわしい同様の問題と同じく、世界各国に於いて我が国の信用や威信を日毎に失わせて居るのである。
 それ等の国々は何らの親しみもなく、我々を冷たい横目で軽視するのである。
 例えば、コロナ・ウィルスのワクチン入手の手続きが手間取り、遅れている理由はどこに在るか、仮にも読者は考えた事が有ろうか?
 もし、幾らかでもそれが確保出来るとすれば、必ずしも吾が権利上で認められ、或いは道義に適った結果では無く、人の憐みに頼ったのである。
 世界中で、正に腐敗し堕落したと知られるに及んだ、この我が司法界の悪評の下で、何の信用が期待出来ると云えるか?
 この度は何れの者がこの事を確言しているのか? 他ならぬアメリカ合衆国だ。
 自国民及び他国民の人権を蹂躙した、疑わしい長い経歴の持ち主である当の同国の言い分を容易く容認出来るものか?
 同国政府に対し、「人を批判する前に先ず自国の汚れを掃除してからにして頂けないか?」と応酬したい処だが、この様な言い草は安い逃げ口上で、吾が司法界の実態の弁解、または隠蔽で最終的には吾々の自責問題である。

 この様な批判が国外で生じるのか?
 それは、我々自身が国内で何もしなく、又何も改善の努力をしないからである。
 改変に直々関心を持つべき官吏や機関は、現役の大臣、裁判官及び検察官との友好・癒着を培うのに余念が無い。
 完全な免責が罷り通り、正に悪政治家連の行状が、米国務省の報告書の内容・資料に資し、不幸なパラグァイの恥曝しに成って居るのである。
 事実、大物や顕著な政治家の中で、幾人が検挙され、牢獄に繋がれているか?
 司法は、悪評を増すかの様に裁判を弄び、その道化芝居は何時迄も幕を下ろさない。
 しかし芝居が閉っても、裁判の結果は犯罪者側に有利な判決で終わる。
 本件あるいはその他多くの案件は、同上報告書の内容に、すなわちその一補足事項に依存している。
 つまり、前大統領カルテス派のウリセス・キンターナ下院議員のケースである。
 アメリカ政府は、所謂「ウリセス・キンターナ氏は、腐敗行為や国際犯罪に加担し、パ国政府の権利及び司法を著しく毀損し、妨げた」と言う問題である。
 同下議員は、麻薬密売の犯罪の廉で訴えられているのである。
 何と、かかる前科の下に同氏はアルト・パラナ県首都、エステ市の次期市長選に、くしくも立候補しているのだ。
 そして、この目的で、激烈な選挙運動を目下展開している。全ては、特に金は掛からずに済む。
 国会議員としての、報酬と割り当て燃料を受けている。従い、他の選挙対抗者達よりも有利に戦える。
 ここで一つの問題が有る。それは、法律上は合法だが、全く不正義な話だ。
 それは、多くの者には辞書を手に持たないと、倫理的に解釈し難い事である。
 つまり、市長選挙戦に臨む限り、その期間中は現職の無給休職願いを提出すべき、倫理的な道徳問題が有る事だ。
 しかしそれは、繰り返すが、結局は遣らないだろう。なぜなら、法的問題ではなく、倫理上の話しだからである。
 よって国会は、上下両議員に限らず、事前に辞職又は無給休暇を得ない限り、政党選挙に立候補を禁じる制度又は法律を、制定すべきである。
 これ等の、山を為す「些細な不注意」と、その他幾多の不名誉な問題が、我が国の国際交渉力の脆弱性を招いて居るのである。
▼(註=本稿は4月11日付の当地Abc Color紙に載ったアルシビアデス・ゴンサレス編集長の論文を参考にしたものです)。

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