ホーム | コラム | 樹海 | 母の日直後に見た命の明暗

母の日直後に見た命の明暗

母の日に退院したエンリケ君とその家族(10日付G1サイトの記事の一部)

母の日に退院したエンリケ君とその家族(10日付G1サイトの記事の一部)

 母の日直後の10~11日に、幼い命を巡るニュースが二つ流れた。
 涙して聞いたのは、10日に聖市ボア・ヴィスタ区で起きた3歳児死亡事件だ。
 祖母と共に応接間でTVを見ていたガエル君は、台所にいた母のところに行き、しばらく泣いていたという。その後、何かを壁に打ち付けるような音が聞こえたが、外の音だと思っていた祖母が、ガラスが割れる音も聞こえたのに驚いて台所に駆けつけると、同君が床に倒れており、救急隊員の努力にも関わらず亡くなった。
 祖母によると、母親はショック状態で質問に答える事さえできず、救急病院精神科に入院。母親は息子の死を知って1時間近く泣き続け、清掃用の液剤をのんで自殺しようとしたとも報道されている。衝動的に起こした殺人で、自分がやった事とその結果に打ちのめされていた可能性がある。彼女は事件の翌朝、警察での事情聴取後に逮捕された。
 テレビでは、ガエル君の体に複数の傷があった上、母親にもひっかき傷があり、同君が抵抗したと思われると報じられた。だが、コラム子には、子供に泣かれていら立っていた母親が、同君に引っかかれて逆上、壁に頭や体を打ち付けて殺してしまったのではと思えた。
 いずれにせよ、様々なストレスの中で、女性殺人や幼児虐待の報道が増えているのは事実だ。
 同君が亡くなる直前の週末を共に過ごし、日曜の午後、息子を母親の家に連れて行ったという父親は、同君の笑顔と「大好きだよ、お父さん!」の言葉を胸に、同君を自分の出身地のパライバ州に葬る事を決めた。
 3月にエンリ君虐殺事件が起きたリオ州ではその後も別の虐待死事件が起きたし、4日にはサンタカタリーナ州の保育園襲撃事件で、幼子3人と保母ら2人が死亡した。
 国内外で悲しい事件が続く中、心を温めてくれた他方のニュースは、保育園襲撃事件で肺に穴が開いて手術を受け、集中治療室にいた1歳8カ月の男児が回復し、母の日に退院。家族が拍手と音楽で同君を迎えたというものだった。  (み)

★2021年4月13日《リオ》前妻への暴力行為も明らかに=DV市議の4歳養子虐待死事件
★2021年5月7日《リオ市》検察がジャイリーニョ市議ら起訴=エンリ君の虐待死事件で

★2021年5月5日《ブラジル》サンタカタリーナ州=青年が山刀で保育園襲撃=園児3人と職員2人が死亡

★2021年5月6日《ブラジル》保育園襲撃5人殺害事件=現地メディアは凶器を「日本刀」などと報道

image_print