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《ブラジル》コロナ禍CPI=大統領派企業家が証言=否定論者の姿勢崩さず=虚報拡散者への出資認める=ワクチン不正交渉団体の副会長

9月30日のCPI(Leopoldo Silva/Agencia Senado)

 9月30日の上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)では、ボルソナロ大統領支持派の企業家オターヴィオ・ファコウリ氏が召喚されて、証言を行った。ファコウリ氏は、連邦政府に対してコロナワクチンの不正売買を行ったとの疑惑を持たれている団体への出資の事実などを認めた。1日付現地紙が報じている。
 ファコウリ氏は、コロナウイルスに関して、クロロキンなどからなるKit―Covidを使った早期治療の必要性などの虚報を拡散した「テルサ・リーヴリ」や「クリチカ・ナシオナル」などの虚報サイトへの出資や、クロロキンを推奨する「影の委員会」のメンバーである疑惑、さらには、米国企業ダヴァティ社を介して連邦政府へのコロナワクチンの不正販売を行おうとした疑惑などを持たれている。また、ボルソナロ大統領入党を希望しているブラジル労働党(PTB)のサンパウロ州支部長もつとめている。
 ファコウリ氏は、「自分はフェイクニュースなど拡散していない」と主張しながらも、ワクチンによる予防効果を強く批判し、マスク着用は無意味だと主張するなど、ネガシオニスタ(否定主義者)としての典型的な言動を行った上、これらは一つの意見であり、「表現の自由」は認められるべきだと主張した。
 その態度は委員たちの反感を買い、副委員長のランドルフェ・ロドリゲス上議から、「あなたの意見が他の人々の健康を損なわせるものであった場合は、自由な意見の表出とはみなされず、犯罪として扱われる」と明言された。また、傍聴席にいたファビアノ・コンタラト上議からは、「私は以前、ネット上で同性愛者差別的表現で罵倒された」として、謝罪を求められる場面もあった。

 ファコウリ氏はまた、ボルソナロ大統領と深い関係にあることや18年の選挙の際の支援も否定した。だが大統領選の支持者であることは認め、大統領選の際も、選挙高裁に届け出のなかった大統領支援者たちへの支援を行ったことは認めた。それは56万点にも及ぶ選挙ツールの印刷費で、北東部を中心に配布されたという。
 さらに、2019年~20年の反民主主義デモの際に資金提供を行っていたことも認めている。ファコウリ氏はこの件で、20年に最高裁のフェイクニュース捜査の捜査対象にもなっていた。
 ファコウリ氏はさらに、連邦政府との間のワクチンの不正売買に関与したとされる団体「インスティチュート・フォルサ・ブラジル(IFB)」の副会長であり、出資を行っていたことも認めた。IFBは2014年に退役軍人のエウシオ・ブルーノ氏を会長として結成された団体で、「中絶反対」や「銃所持肯定」などを主張する極右団体として知られている。
 IFBは今年の3月頃、米国のダヴァティ社を介して、連邦政府にアストラゼネカ・ワクチンを不正な方法かつ不当な価格で売りつけようとしていたと報じられている。だが、ファコウリ氏は、「自分の役職はあくまで象徴的なもの」として、ワクチンの交渉には一切携わっていないとして、関与を否定している。
 このワクチン疑惑に関しては、当時の保健省のナンバー2で、同省内で賄賂交渉の中心人物との証言もしばしばあげられているエウシオ・フランコ氏と交渉の席に着いたことが疑われている。

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