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人気の男性シニア=貞弘さん「レク、覚えて使って」

ニッケイ新聞 2007年9月29日付け

 ぜひ、遊び方を自分たちで覚えてもらいたい―。七月から老人クラブ連合会で活動を始めた、貞弘昌理(さだひろしょうり)JICAシニアボランティア(61)は、その人あたりの柔らかさと雰囲気で、本部センターや訪問先で人気を集めている。八月から本格的に巡回指導を始め、これまでにサントス、サントアンドレ、オウリニョスなど六つの支部を廻った。得意のギターを奏でながら、様々なレクリエーションを伝授する貞弘さんは、「せっかく来たんだから、いろんなとこに行ってみんにゃね」とこれからの巡回を楽しみにしている。
 「やってみんきゃ~、わからんちゃ~ね」。貞弘さんは山口県出身。話を始めれば、自然と方言が飛び出してくる。地方自治体職員として公民館で勤務する傍ら、四十年前から続けているギターを使って、レクリエーション指導を始めた。
 「演奏するだけでないギターの使い方」に目を開かされ、老人クラブや幼稚園でボランティア活動をするようになる。「仕事の合間にボランティアをしたのか、ボランティアの合間に仕事をしたのか」と貞弘さん。「自分の経験をもとに世界に出てみよう」と挑戦するつもりで、JICAボランティアに応募し、ブラジルへ来たという。
 「例会の一、二時間ですべて(のレクリエーション)はできないし、同じ所に行けるのは年に一、二回。それぞれが覚えてもらって、集まったときには使うてほしいんちゃ~ね」。
 十八日にサント・アマーロ老人クラブあおぞら会を訪問した貞弘さんは、ギターを手に「赤い靴」「かもめのすいへいさん」「影を慕いて」などを伴奏。約百人の参加者とともに声を合わせて合唱した。
 「皆が参加できて簡単に覚えられて、自分たちでもできるレク」。貞弘さんは合言葉のように繰り返す。
 あおぞら会ではまず、両手をあげて大きな声で「あ~!」。指の体操、合唱、顔面体操と続ける。「人間使わないところは動かなくなっていくものです。家でもやってくださいね~」。
 五十音順表とボンゴを使って頭の体操をしたり、手の動きに合わせて替え歌をしたりと、会場を賑やかにさせていた。
 「いろんな人がいるからね。どこまでできるのか、行ってみないと分からんよね」と、巡回指導には様々な道具を用意していくのだとか。「笑ってくれるポイントが日本とブラジルでは違う」と悩みつつ、「皆さん動くのが好きなようだから、机のない広いスペースで、いろいろなゲームができたらいい」と抱負を語っていた。

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