連載小説
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(17)
ワイは鳴尾小学校では、巨人のキャッチャーで3番打者の藤尾やらホームラン王にもなった阪急の中田と同じチームにいて、今津中学でファーストミットを盗まれて水泳に転向するまでは野球選手やった。 手始めにサ
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(16)
旅館の薄暗い部屋で、その二人がなんとなく、もの苦しく座ってた。 この二人、北海道の混浴温泉で出来てしまったらしい。 おやじに言わせれば「長いこと外国に住んでて、生まれたことも知らん日本の姪やった
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(15)
霧島の太目のママさんを、山下さんは「とんげん」つまり豚カツの原料と呼んでいたが、気風のいい女傑で、おやじを尊敬してた。 このママとは、どこまで、できてたかは知らんが、寿司屋のママとはだいぶやったら
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(14)
この日からは、二人で楽しむのが日毎に待ち遠しくなり、毎晩お互い何回も昇天し竜宮をさまよった。 それからほどなく、ある日のこと「旅費清算のお金で夏蒲団を買いました。あなたが暑苦しい布団で寝ておられる
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(13)
広島までの3時間ばかり、おやじから習ったとおり、念入りに愛撫しつくしたら、車がエンストしたような動きがあり、彼女のからだが硬直したが、さすがに声はひそめていた。 宇野から高松までの宇高連絡船では、
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(12)
おやじは福岡勤務によりその安藤氏と再会、馬賊芸者との間に生まれた安藤氏の一人娘で短大を卒業したばかりの和枝さんを採用した。ニコニコしながら長身ではたちぐらいの女性が会社に現れ、新入社員の仁科が応対に
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(11)
ところが、これが裏目に出て、長男の達頼は良家の娘を娶り義兄の世話で半導体関連の工場経営を任されたが、会社をつぶし離縁され、次男の幸二は中州のバーの女と駆け落ち、3男の紘和に至っては事もあろうに、叔父
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(10)
社長はそれからも出張してきたが、ワイは国体出場で留守にしてた。課長連中からぼろ糞に怒られたけど、ワイが「社長なんか日本に何万人も居る。そやけど日本に一人しか居ない皇太子の臨席される国体出場の栄誉を得
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(9)
動機は極めて単純明快。先生が九大の医局に入局した年、忘年会の酒集めに業者回りした際、当時の東芝支店長の松原精太郎が、「先生どこな? 別府! 俺も大分県出身、姫島の漁師の倅たい。酒3本と云わずに10本
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(8)
東芝がレントゲンを売るにも、おやじの口利きがないと、どこの病院にも出入りできないことが判った小宮虎之助は、毎回手数料をおやじに払うのが惜しくなり、おやじをスカウト、それが初代高松営業所長・おやじの第